【DDT】「民意を問う」総選挙を制したディーノ 竹下の防衛記録阻止へ「厳しさ教える」

高木裕美

サイバーエージェントグループの一員となったDDT。グループの一員として最初の総選挙は“DDTのアイコン”ディーノが制した 【スポーツナビ】

 DDTプロレスリング「DDTドラマティック総選挙2017開票イベント」が27日、東京・新宿バルト9で開催され、満員となる304人を動員した。

 DDTは97年5月に旗揚げされ、今年で20周年。9月1日付で発行済み株式の100%をサイバーエージェントに譲渡し、サイバーエージェントグループの一員となった。

 9.24後楽園ホール大会では、インターネットTVの「AbemaTV」での生放送も開始され、サイバーエージェントの藤田晋社長も来場。DDT・高木三四郎社長が「DDTは、DDTらしさをそのままにプロレス業界のナンバーワンを目指します!」と宣言すると、藤田社長も「DDTプロレスを変えるつもりはまったくございません。このままの形でさらに大きくしていけるように、私たちは全面的にバックアップしていきたいと思います」と、業界トップを目指すことを誓い合った。

「AbemaTV」といえば、元SMAPの香取慎吾さん、稲垣吾郎さん、草なぎ剛さんが生出演する「72時間ホンネテレビ」の番組視聴予約数が約13万件を突破するなど、今、もっとも注目されているメディア。スポーツでも、1420万回視聴を記録した「亀田興毅に勝ったら1000万円」などが話題となっており、今後、DDTもさまざまなファン層や世代への訴求が高まっていくことが期待されている。

4年ぶり3度目の1位獲得

4年ぶり3度目の1位を獲得したディーノは、コメント中涙ぐむシーンも 【スポーツナビ】

「DDTドラマティック総選挙」は2010年に「第1回DDT48総選挙」としてスタートし、今年が8回目。毎年、夏から秋にかけて開催され、対象となる大会のチケットを購入するか、グッズを購入すると投票用紙が配布され、自分の好きな選手やユニットに投票できる。

 今年は個人部門に43選手、ユニット部門に10チームがエントリー。個人部門の1位〜20位は選抜メンバーとして10.22東京・後楽園ホール大会の本戦に出場。21位〜24位もアンダーボーイズとして同大会のアンダーマッチで試合をする権利が与えられる。

 今年、個人部門で1位に君臨したのは、“DDTのアイコン”男色ディーノ。ディーノは10年の第1回以来、毎年5位以内をキープしており、1位に輝くのは10年、13年以来、4年ぶり3度目となる。今回、1位の副賞として、賞金100万円と、10.22後楽園大会のメインイベントでKO−D無差別級王者・竹下幸之介への挑戦権を獲得。8.20東京・両国国技館大会では高木三四郎大社長との一騎打ちに勝利し、プロデューサーとしてDDTの全権を手に入れたディーノが、プレーヤーとしても頂点に立つチャンスをGETした。

 くしくも、日本の政界でも、安倍晋三首相が解散を表明したことで、「総選挙」がホットな話題となっている。DDT総選挙の翌日となる28日には、衆議院が臨時国会で解散し、10月22日に総選挙が実施される。安倍首相は、今回の解散総選挙の意義について「国民の審判を仰いで、国民の民意を反映する」ためと述べていたが、DDT総選挙については、「何が起きてもおかしくない、攻めのDDT」をテーマに掲げるディーノ新プロデューサーを支持する、というDDTファンの気持ちが、得票に反映される結果となった。

ディーノと竹下の“因縁”は11年前から

ディーノへの“因縁”がある竹下(左)と、KO−D最多防衛記録がかかった戦いへ 【スポーツナビ】

 自分では予想していなかった1位という結果に、ディーノは思わず涙。「プロデューサーになって、ベルトはもうないと思っていた」矢先に挑戦権獲得となり、「選手として、挑戦させてくれてありがとう。私もバカじゃないから竹下と私の戦力は分かっている。でもこれは『勝て』ってことですよね。分かりました。請け負いましょう。私が竹下にDDTの厳しさを教えます。試合で厳しい目に遭うのは私だけどね」と、選手としての覚悟を決めた。

 ディーノと竹下の“因縁”は実に11年前から始まっている。

 竹下が小学5年生の時、地元である大阪・アゼリア大正ホール大会を観戦した際に、入場してきたディーノにファーストキスを奪われてしまった。さらに、12年8月のDDT日本武道館大会で現役高校生としてデビューを飾ると、同年の総選挙でさっそく17位にランクイン。同年10.21後楽園大会で対戦の機会を得るも、リップロックで敗れ、再び唇を奪われるという悪夢を味わわされている。

 現在61代王者として8度の防衛に成功し、第45代王者・入江茂弘と並ぶ歴代最多防衛タイ記録を樹立している竹下だが、次のディーノ戦で勝利すれば、入江を抜いてV9の新記録達成となる。

 一方、ディーノとしても、第38代王者であった12年4月以来、実に5年半ぶりの王座返り咲きとなれば、名実共にDDTのかじ取り役として、さらに「攻め一辺倒」の仕掛けがやりやすくなる。

 最後に、マイクを託されたディーノが言った「安心してください。DDTには男色ディーノがいます」という一言が今回の総選挙のすべて。旗揚げから20年たち、会場の規模や所属選手、運営会社や登場するメディアが移り変わろうとも、DDTの象徴が中心にいる限り、DDTはこれからもDDTであり続け、ファンもそれを支持し続けるということが、結果として証明された形となった。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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