男子ジャンプ、昨季不振の原因はスーツ!? 平昌五輪へ、横川HCが掲げる課題とは
“勢力図が変わる年”に苦戦
サマージャンプで存在感を見せる小林潤志郎(写真)。各選手とも冬の本番へ向けて調整に余念がない 【写真は共同】
五輪プレシーズンとなった16−17年は日本勢にとって苦しいシーズンだった。日本代表チームの横川朝治ヘッドコーチ(HC)に昨季の反省と平昌五輪シーズンへ向けた話を聞くと、横川HCは「最後に何とか面目を保ったが、苦しんだシーズンでしたね」と振り返った。
昨季の日本勢は、シーズン終盤の3月12日、ワールドカップ(W杯)オスロ大会ラージヒルで伊東大貴(雪印メグミルク)が4位になると、19日のビケルスン大会のフライングヒルではエース葛西が2位に入り最年長表彰台記録を更新。26日に行われた最終戦プラニツァ大会のフライングヒルでも葛西が初日に4位、最終日には3位と結果を残した。
しかし2月の世界選手権では伊東のノーマルヒル10位とラージヒル15位が最高で、ラージヒル男子団体ではチェコと同点の7位と、シーズン全体を通して見ると振るわない1年に終わった。
「五輪前のシーズンというのは、以前から世界の勢力図に変化が起こる年なんです。簡単に言えば昨季は、日本のトップ3人は変わっていないところへ、12〜13人がごっそり上がってきたというのが正直なところです」
拮抗する上位国の技術力
横川HCは各国の技術差がほぼなくなってきたと分析する 【スポーツナビ】
横川HCに言わせれば、公平な条件(ほぼ無風、気温マイナス5〜6度、アプローチの整備も完璧)の試合になると、予選に出場する70数名の中で120メートル前後のK点に届かない選手はせいぜい2人なのだという。実際に、本戦で2本目進出となる30位付近に飛距離が同じ選手が10数人いて、着地に失敗したものが落ちるハイレベルな戦いになることが、1シーズンに1〜2回はあるという。
「一見みんな違う飛び方に見えますが、何人もの選手の踏み切りの映像を重ね合わせてみると、上位30人はひとりが飛んでいるようにしか見えないんです。竹内択(北野建設)と総合5位のマチェイ・コット(ポーランド)を比べたら2人が飛んでいるとは思えないほどピッタリだし、全然似ていないように見える葛西とセベリン・フロイント(ドイツ)もほぼ1人が飛んでいるように見えるので」