将来が見えないバルサ、責任は誰にある? スタイルの変化と問われるメッシの起用法

黄金期を築き始めたレアル・マドリーを止められるか

バルセロナは黄金期を築き始めたレアル・マドリーから、国内外における覇権を奪回しなければならない 【Getty Images】

「ここ4年間のうち3回、チャンピオンズリーグ(CL)がレアル・マドリーの手に渡っただけでなく、残る1タイトルの獲得を阻んだのも1人のマドリディスタだった」

 リーガ・エスパニョーラの各チームが休暇を終えて、プレシーズンのトレーニングを始めるまでの間、レアル・マドリーの熱狂的ファンは冗談交じりにそんな主張を繰り返していた。

 これは笑い話などではなく、確かな事実である。14−15シーズンのCL準決勝でレアル・マドリーを敗退に追い込むゴールを決めたのは、当時ユベントスでプレーしていたカンテラーノ(下部組織出身者)のアルバロ・モラタだったからだ。

 だが、その敗退を除き、レアル・マドリーは近年ヨーロッパのタイトルを独占してきた。中でもその強さが際立った16−17シーズンは、ウェールズの首都・カーディフで行われた決勝にて、ユベントスに4−1と圧勝している。

 こうした状況は最大のライバルであるバルセロナにとって大いなる挑戦として、のしかかっている。1991−92シーズンの初優勝から14−15シーズンまでの間に5回のCL制覇を実現してきたバルセロナは、黄金期を築き始めたレアル・マドリーから国内外における覇権を奪回しなければならない。

広がっていくCL優勝回数の差、責任はフロントに

過去の成功の上にあぐらをかいてしまったバルセロナは、選手補強などで重要な判断ミスを繰り返すことも増えた 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】

 レアル・マドリーにとって21世紀のスタートは簡単なものではないように思われた。だが11年の時点で9対4だったバルセロナとのCL優勝回数の差は、今では12対5にまで広がっている。それは66年の時点(6対0)や98年の時点(7対1)よりも大きな差である。

 しかもその間、バルセロナはフットボール界に存在するあらゆる個人記録を塗り替えてきたリオネル・メッシに加え、彼とともにバロンドールの上位3枠を独占したシャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタらまで擁していたのだ。

 そんなバルセロナがなぜ、手中にあったはずの覇権を失い、やすやすと永遠のライバルに明け渡すことになってしまったのか――。

 原因は1つではないが、最たる責任はフロントにある。まずフランク・ライカールト、そして08年以降にジョセップ・グアルディオラが素晴らしいチームを作り上げて以降、クラブは明確なプロジェクトを持たぬまま数シーズンを過ごしてきた。そのためチームは時間の経過とともに少しずつ力を弱め、数人の主力選手は体力的にピークを過ぎてしまった。

 過去の成功の上にあぐらをかいてしまったバルセロナは、まるでそれが自然な流れであるかのように、選手補強などで重要な判断ミスを繰り返すようになった。さらにこの時期には、グアルディオラの後継者だったティト・ビラノバの不幸も重なっている。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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