キタサンとレイデオロが示した新機軸 17年上半期の結果は次代の潮流となるか
トピック定着の機運
レイデオロのダービー制覇はトピック定着の一助に 【写真:中原義史】
レイデオロのダービー制覇は、まさにそれでした。ホープフルSのGI昇格に必要なレーティングを底上げしたのが、他ならぬレイデオロの走りでしたが、出走馬全体のレベルとしては、昇格は時期尚早な印象も拭えなかったのです。しかし、勝ち馬が3歳馬の頂点に立てばケチのつけどころはありません。
もうひとつの例が、やはり今年昇格したGI大阪杯でも起きました。春のGI最終戦、宝塚記念を制したのが、大阪杯から中11週の間隔を開けて直行したサトノクラウンだったこと。“春の古馬3冠”の在り方に、新しい側面が示されたわけです。そしてそれは、懸念された部分をストレートに晒したような形にもなりました。
ローテーションの新機軸
大阪杯から直行で宝塚記念を制したサトノクラウン、春の中距離馬にとってこのローテーションが今後の定番となる? 【スポーツナビ】
2000m→3200m→2200mと続くシリーズ。中距離のスペシャリストにとって、適距離のGIが2つ組まれているのに、敢えて3200mを使ってくるのかどうか。そうでなくとも宝塚記念は春シーズン最終戦。激走が続いた後のレースで、無理な使い方は避けたいところです。秋を睨めば尚の事。
シリーズがスタートした年に、大阪杯からの直行組が宝塚記念を制したことが、わかりやすい成功例として浸透、定着する可能性は十分考えられます。一方でキタサンブラックが馬群に沈んだことも、3レース皆勤の過酷さを改めて印象づけることになりました。
これによって3200mの天皇賞が益々特異なレースとして扱われ、空洞化、いやガラパゴス化するのではないか。それに伴ってレベルの低下が云々されるようになりはしないか、という危惧まで生じてきます。
そして新しいローテーションの可能性、を言うなら、レイデオロのパターンも無視できないかもしれません。
2歳暮れのホープフルSの後、疲労が取れずにぶっつけで1冠目の皐月賞を使い、休養明け2戦目にダービーを迎えました。このステップは一見すれば皐月→ダービーですから王道のようにも取れますが、2歳時に賞金を加算しておいて、クラシック本番を前にしたローテーションの組み方として、新たな指標になり得ませんか?
秋以降の潮流は?
これらに関する再検証、考察は、それこそ次年度以降に持ち越されます。キタサンブラック、サトノクラウンにサトノダイヤモンドといった“春古馬3冠”に出走した馬達や、皐月賞、ダービーを走り抜いた3歳馬達の今後の走りを注視しながら、秋、そして来年を待ちたいと思います。