ネガティブ克服 勢い増す大学生スイマー 松元克央、『自信』を胸に挑む世界水泳

田坂友暁
 水泳の世界選手権(以下、世界水泳)が7月14日、ハンガリーのブダペストで開幕する。競泳(23日〜30日開催)の日本代表に選ばれた、全25選手の大会への思い、これまでのストーリーとは。全25回連載の第10回は、自由形、フリーリレーメンバーの松元克央(かつひろ/セントラルスポーツ)を紹介する。

■松元克央を知る3つのポイント
・現在大学3年、身長185センチの大柄選手。
・自由形でインターハイ二冠、大学入学後はユニバーシアード代表にも。
・世界水泳代表権がかかった6月の大会で自己ベスト更新。

大事なレースで自己ベスト更新

身長185センチの大型選手、大学3年の松元克央。初の世界水泳へ臨む 【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 2014年、高校3年のインターハイで100メートル、200メートル自由形を制し、日本のトップに躍り出た松元克央。大学1年生になると、ユニバーシアード大会(韓国・光洲)に出場し、そして大学3年の今年、リレーメンバーながら世界水泳の代表に。じっくりと確実に成長を続け、結果を残すことで『自信』をつけてきた。

 特筆すべきは、リレーメンバーの最終選考会となった6月の和歌山県選手権での200メートル自由形決勝。前半の100メートルを51秒92で折り返すと、ラスト50メートルで猛烈な追い上げを見せて、「調子が悪くて不安がありました」という言葉とは裏腹に、1分46秒75の自己ベストを更新。しかもラスト50メートルは26秒52という、驚異的なラップタイムをマーク。後半の強さを見せつけるようなレース展開に、周囲も驚きを隠せなかった。

「自信を持って臨めるレースが増えてきました」

競泳の和歌山県選手権  男子200メートル自由形決勝 1分46秒75で同着1位の松元克央=和歌山市秋葉山公園県民水泳場 【共同】

 身長185センチの大柄な見た目と反して、「緊張すると、気持ちがネガティブな方向にいってしまうんです」と、気が小さいところがある。だが、気持ちが乗ると強さを発揮する。16年の世界短水路選手権(カナダ・ウインザー)で、こんな話をしてくれたことがある。

「いつもレースになると不安ばっかりで、気持ちも前向きになれなかったんです。だからいくら練習をしても自信が持てなくて。でも最近は結果が残せるようになって、自信を持って臨めるレースが増えてきました」

 練習を積むことで“これだけやったんだから大丈夫だ”と自信を持つのではなく、松元の場合は、インターハイ優勝やユニバーシアード大会の代表入りなど、少しずつ結果を積み重ねていくことによって本当の『自信』を作り上げていったのだ。

「チームに貢献するのは当たり前。そのうえで、100メートルは47秒台、200メートルでは1分45秒台が出せるように準備をしたい」

 世界水泳ではフリーリレーのほかに、男子200メートル自由形にもエントリーされた。若手大型選手への期待は大きいが、松元は冷静だ。己の力を過信することなく、残してきた結果によってつけてきた『自信』を胸に、初の世界大会に乗り込む。
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著者プロフィール

1980年、兵庫県生まれ。バタフライの選手として全国大会で数々の入賞、優勝を経験し、現役最高成績は日本ランキング4位、世界ランキング47位。この経験を生かして『月刊SWIM』編集部に所属し、多くの特集や連載記事、大会リポート、インタビュー記事、ハウツーDVDの作成などを手がける。2013年からフリーランスのエディター・ライターとして活動を開始。水泳の知識とアスリート経験を生かした幅広いテーマで水泳を中心に取材・執筆を行っている。

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