五十嵐千尋は『自分のレース』で勝負する 世界水泳で切り開く新たな道
■五十嵐千尋を知る3つのポイント
・後半の粘り強さに定評。国際大会でより勝負強さを発揮。
・中学からジュニア日本代表として活躍。
・高校の水泳部ではキャプテン。リオデジャネイロ五輪(以下、リオ五輪)でもフリーリレーメンバーの中心に。
国内よりも国際大会で力を発揮する、その理由
3度目の世界水泳に臨む五十嵐千尋(左)。責任感ある性格でメンバーのまとめ役を担う一面も。写真はリオデジャネイロ五輪女子800メートルフリーリレー予選 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
「国際大会だと自分よりも速い選手がたくさんいて『それについていこう』という気持ちで前半から攻めることができるんですが、最初から自分がトップになってしまうと、どうしてもうまく泳げないんです……」
五十嵐は後半の粘り強さに定評がある。多くの選手は、後半になるとキックが弱くなったり、泳ぎのリズムが崩れたりしていく。だが五十嵐は、スタートからフィニッシュまで、ほぼ泳ぎのリズムは変わらず、自分のリズムを守りきって泳ぎきる。だからこそ、前半から攻めるレースをしても、後半で勝負ができるはずなのだが、国内だとどうしても前半を攻めきれず、消極的なレースになって、その粘り強さを発揮することができなかった。
ジャパンオープンでつかんだ『自分のレース』
ジャパンオープンで“殻”を破った五十嵐。写真は女子400メートル自由形決勝の表彰式 【写真:築田純/アフロスポーツ】
中学時代からジュニアの日本代表として活躍し、高校3年のときには誰からも慕われ、頼りがいのある水泳部キャプテンとしてチームを牽引(けんいん)。リオ五輪でも、女子フリーリレーメンバーの中心となってチームを鼓舞してきた。責任感があればあるほど力を発揮するのが、五十嵐千尋という選手だ。
自身にとって3度目となる世界水泳。新たに見つけた『自分のレース』で、世界への新たな道を五十嵐は切り開いていくことだろう。
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