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日本選手権V7の星を継ぐスイマー
長谷川涼香を育んだ家族とライバル

 水泳の世界選手権(以下、世界水泳)が7月14日、ハンガリーのブダペストで開幕する。競泳(23日〜30日開催)の日本代表に選ばれた、全25選手の大会への思い、これまでのストーリーとは。全25回連載の第5回は、女子バタフライの長谷川涼香(東京ドーム)を紹介する。


■長谷川涼香を知る3つのポイント

・父が競泳コーチ、母も元競泳選手でコーチという水泳一家に育つ。

・五輪メダリスト・星奈津美の後継者として期待されている。

・4月の日本選手権は、世界ジュニア新記録で初優勝。

笑顔なき代表入り

女子バタフライをけん引してきた星奈津美の後継者として期待される長谷川涼香
女子バタフライをけん引してきた星奈津美の後継者として期待される長谷川涼香【写真:築田純/アフロスポーツ】

 ロンドン、リオデジャネイロ五輪と2大会連続で女子200メートルバタフライの銅メダルを獲得した星奈津美が、2016年10月に引退した。長年、日本の女子バタフライをけん引してきた星の穴を埋めるのは容易ではないが、すでに次代の芽は育ってきている。後継者として活躍を期待されるのが長谷川涼香(東京ドーム)だ。


 星の引退後、長谷川にとっては初めての大きなレースとなった4月の日本選手権。星が7連覇という偉業を成し遂げていた200メートルバタフライで、長谷川はその実力を見せた。前半、日本記録を上回るペースで泳ぐと、2分6秒29という世界ジュニア新記録で初優勝。ラスト50メートルで失速し、星が持つ日本新記録(2分4秒69)には及ばなかったものの、派遣標準記録を上回り、世界水泳の日本代表入りを決めた。


「星さんがいなくなってしまって、自分が(代表権を)取るしかないと思っていました。しっかり取れてよかったです」


 そう喜びを語った長谷川だが、その顔に笑顔はなかった。


「目標タイムに届かなかったので少し悔しい部分もあります」


 長谷川はこのレースで「前半(の100メートル)を1分切って入る」ことを目指していた。なぜなら昨年のリオ五輪で苦汁をのんだから。同種目でのメダル獲得も期待されていた長谷川だったが、五輪のプレッシャーに泳ぎが硬くなり準決勝敗退。「同じ失敗は繰り返さない」と、今季は前半のスピード強化に励んでいた。だが、日本選手権では1分00秒42とわずかに目標タイムを切れなかった。


「世界水泳では周りが速いので、予選からチャレンジ精神をもって泳ぎたい。予選からタイムを出して決勝にいきたいと思います」


 本番までの課題が浮き彫りになった反面、強化ポイントが明確になったことは収穫だったに違いない。

長谷川を育てた2つの環境要因

同じく世界水泳に出場する牧野(右)は長谷川(左)の長年に渡るライバルだ
同じく世界水泳に出場する牧野(右)は長谷川(左)の長年に渡るライバルだ【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 オリンピアンとなり、今夏の世界水泳でメダルを狙うまでに成長した長谷川だが、その強さの要因は「環境」にもある。


 父が競泳コーチ、母も元競泳選手でコーチという水泳一家に育った長谷川。厳しい父に幼少期よりスパルタで泳ぎをたたき込まれた。5歳になる頃には全4泳法が泳げるようになり、中学1年時にはジュニア五輪で優勝(100メートルバタフライ)するまでに成長した。


 中学にあがるとライバルもできた。牧野紘子(東京ドーム)が所属チームにやってきたのだ。学童記録を次々と塗り替え、全国で結果を残していた同い年の牧野に触発され、「私も負けられない」とタイムを伸ばした。淑徳巣鴨高の1学年下には、リオ五輪の100メートルバタフライで5位に入った池江璃花子(ルネサンス亀戸)も在籍。水泳一家だったこと、周りに同年代のライバルがいたこと。長谷川にとって、世界を目指すにはこれ以上ない環境だった。


 星がいない世界水泳で、長谷川はどのような泳ぎを見せてくれるのだろうか。ライバルとともに、大舞台での表彰台を目指す。


(文:澤田和輝/スポーツナビ)

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