異例の“少数精鋭”となった競泳代表 世界水泳へ、苦渋の決断に至った背景
今夏の世界水泳代表は18人。異例の少数体制となった。写真は(前列右から時計回りに)大橋悠依、池江璃花子、長谷川涼香、小関也朱篤、瀬戸大也、萩野公介、坂井聖人と、平井伯昌監督 【写真は共同】
熱戦の翌日、発表された世界水泳の代表メンバーは男子9人(メドレーリレー補強を含む)、女子9人の合計18人が決定。もしフリーリレーの代表候補として選出された10人を加えたとしても、合計で30人にも満たない選手団となる。
五輪後の世界水泳は、多くの選手たちに経験を積ませる意味もあり、かなり大所帯になる傾向にある。
アテネ五輪後のカナダ・モントリオール世界水泳は35人、北京五輪後のイタリア・ローマ世界水泳では37人、ロンドン五輪後のスペイン・バルセロナ世界水泳は31人(リレー代表含む)だ。そう考えると、今回の選手団は異例とも言えるほど少ないが、そうなった理由を、日本選手権の結果からひも解いていこう。
記録が二極化した日本選手権
日本選手権の女子400メートル個人メドレー決勝で日本新を出し、ガッツポーズをする大橋悠依 【写真:田村翔/アフロスポーツ】
しかし、大橋が400メートル個人メドレーで出した4分31秒42は、リオデジャネイロ五輪では銅メダル相当の記録。男子200メートル平泳ぎでは、小関がリオデジャネイロ五輪の優勝タイムを上回り、渡辺一平(早稲田大)もメダルラインをクリアした。
坂井聖人(早稲田大)は200メートルバタフライで五輪に続いて2度目の1分53秒台をマークし、男子100メートル自由形では中村克(イトマン東進)が、48秒26で前回の世界水泳の決勝進出ラインをクリアするタイムをたたき出した。長谷川涼香と牧野紘子(ともに東京ドーム)の200メートルバタフライの記録も、きっちり五輪の決勝進出ラインをクリア。日本新記録まではいかなくとも、世界大会の決勝進出レベル、またはメダル獲得レベルの記録が、実は多かったのだ。
一方で世界との差が開くばかりの種目も多い。特に男女の自由形長距離、女子背泳ぎだ。
男子の1500メートル自由形は、毎年あと数秒、というところで派遣標準記録を突破できない。女子の長距離は派遣標準記録に届く気配すら見えない。そして、寺川綾の引退後、一気に世界との差を広げられてしまった女子の背泳ぎだ。