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入江陵介、失意のリオから1年
東京五輪への再起はブダペストから

 水泳の世界選手権(以下、世界水泳)が7月14日、ハンガリーのブダペストで開幕する。23日〜30日に行われる競泳の日本代表には、五輪や世界水泳のメダリストから初出場メンバーまで、さまざまな経歴を持つ25人の選手たちが選ばれた。それぞれの大会への思い、これまでのストーリーとは。全25回の連載で紹介する。連載第1回は、男子背泳ぎの入江陵介(イトマン東進)。


■入江陵介を知る3つのポイント

・五輪で3個、世界水泳で4個のメダルを獲得。国際経験豊富な27歳。

・ピアノが得意という一面も。

・ここ数年は成績が振るわず引退も頭に。しかし現役続行を決意し今大会へ臨む。

引退もちらついたリオ五輪での挫折

27歳になった入江だが、今もなお背泳ぎのエースであり続ける
27歳になった入江だが、今もなお背泳ぎのエースであり続ける【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 きれいな顔立ちに、鍛え抜かれた鋼の筋肉。そのルックスのみならず、頭脳明晰(めいせき)でピアノも堪能。水に入ればブレのない美しいフォームで観客を魅了する五輪メダリスト。世界水泳でも19歳で初出場したローマ大会の200メートル背泳ぎで銀メダルを獲得すると、2011年上海大会で2個、13年バルセロナ大会で1個と合計4個のメダルを手にした。


 競泳男子背泳ぎ日本代表の入江陵介(イトマン東進)を形容していくと、エリートスイマーのイメージが先行する。年齢は27歳とベテランの域に達しながらも日本背泳ぎ界の先頭に立ち続けているが、昨年は競技生活の岐路に立っていた。


 12年のロンドン五輪では、100メートル背泳ぎで銅、200メートル背泳ぎで銀、400メートルメドレーリレーでも銀メダルと3個のメダルを獲得。大会後には「どうしても金を目指したい」と、目標を新たに4年後のリオデジャネイロ五輪を見据えた。


 だが、リオ五輪に至るまでの道のりは険しかった。13年と15年の世界水泳では背泳ぎでメダルに届かず(メドレーリレーでは13年に銅メダルを獲得)。メダリストとしての重圧、故障の影響もあり、タイムを伸ばせないまま過去の自分と戦う日々が続いた。


 好調とは言えない状態で迎えたリオ五輪では、メドレーリレーの5位が最高(背泳ぎは100メートルが7位、200メートルが8位)と、金はおろかメダル獲得すらかなわなかった。あまりの失意から大会後には競技への熱を失った。「辞めるという道もあった」と引退が頭に浮かんでいたという。

目標はあくまで東京五輪

充電後に渡った米国で刺激を得て、ふたたび歩み始めた入江
充電後に渡った米国で刺激を得て、ふたたび歩み始めた入江【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 だが五輪後、プールから遠ざかる日々を過ごす中で入江の気持ちに変化があった。


「悔しさばかりが残ったし、やり切れていないと思った。もう少し気持ちよく終わりたい」


 3カ月の充電期間を経て、現役続行を決意。これまでの環境をすべて変え、リオ五輪で米国女子代表のヘッドコーチを務めた名将デビッド・マーシュが指揮を執るエリートチームでイチから体の土台作りに励んだ。目標はあくまでも東京五輪。しかし、練習や合宿で世界のトップスイマーたちに「世界選手権に出るのか?」と問われると、入江の中で自然と気持ちが高まった。


 欠場も考えていたという4月の日本選手権に出場すると、100メートル背泳ぎで見事優勝。200メートル背泳ぎでも2位で派遣標準記録を突破すると、日本代表入りを果たした。


「(100メートルでは)優勝させていただいたが、このタイムでは遅すぎて世界の足元にも及ばない。夏に向けてイチから体を作り直して頑張りたい」


 リオで大きな挫折を経験したエリートスイマーが、気持ちを新たに世界水泳へと臨む。


(文:澤田和輝/スポーツナビ)

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