世界卓球でメダルラッシュの日本勢 東京五輪へ、代表争い激化は必至

月刊『卓球王国』

8人のメダリスト誕生、五輪出場枠は…

メダルラッシュに沸いた日本勢にあって、唯一の金メダルを獲得した石川(左)と吉村 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】

 吉村真晴/石川佳純(名古屋ダイハツ/全農)の48年ぶりの混合ダブルス優勝など、日本のメダルラッシュに沸いた世界選手権・デュッセルドルフ大会。合計5つのメダルを獲得した日本代表だが、メダルを獲得した選手は男子4名、女子4名の合わせて8名と選手層の厚さを見せつけた。また、10代の躍進が光る大会でもあった。

 世界選手権を前に、ロンドン五輪団体銀メダリストの平野早矢香氏が小誌に対し「五輪が終わって最初の世界選手権。この大会が東京五輪を占う大会になると思います。国によっては、結果次第で次の五輪に向けて誰を強化するか、その構図が見えてくる」と語っている。現状の試合方式では、五輪は男女それぞれシングルス出場枠が1国につき最大2人、団体戦のエントリーは3人となっている。今大会の結果を受けて、2020年の東京五輪に向けて日本国内の競争はさらに激化していきそうだ。

張本の躍進で水谷、丹羽らに刺激

中学2年生にして世界選手権ベスト8入りを果たした張本。その快進撃は日本だけでなく世界をも驚かせた 【写真:Enrico Calderoni/アフロスポーツ】

 今大会、男子で特筆すべきは13歳・張本智和(JOCエリートアカデミー)だろう。史上最年少で世界選手権に抜てきされた初出場の張本だが、シングルス2回戦で日本男子のエース・水谷隼(木下グループ)を破る大金星をあげると、その勢いは止まらず、史上最年少でのベスト8入りを果たし、世界に衝撃を与えた。

 それでも13歳の怪物は「記録よりもメダルが欲しかった」とこの結果に満足していない。ベンチに入った倉嶋洋介日本男子監督も、許キン(中国)に1-4で敗れた準々決勝後に「もっと良い勝負ができると思っていた。張本の完成度はまだ40、50パーセントなのに、これだけ世界に衝撃を与えるプレーができたことは驚いている。でも、まだ道半ば。チャンピオンに近づくにはまだ足りないことがいっぱいある」とさらなる飛躍を期待する。

 張本が目標と語る東京五輪での金メダルに向けて、今大会の活躍は非常に大きい。大会後に発表された世界ランキングでは69位から39位へと大きくジャンプアップ。この短期間での成長ぶりは目を見張るものがあり、この調子でランキングを上げていけば、ランキングによる五輪出場も現実味を帯びてくる。

日本男子のエースとして走り続けてきた水谷(左)は、今大会で新たな刺激を得たことだろう 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】

 その張本の活躍は、チーム内にも刺激を与えた。張本に敗れた水谷は、「完敗だった」と振り返り、続けて次のようにコメントしている。

「張本のためにも自分が成長したいし、まだまだ引退はできない」

 日本男子の第一人者として走り続けてきた水谷にとっても、張本の成長は大きな刺激。2回戦敗退という結果は悔しいはずだが、結果とは別にさらなる進化のきっかけを見つけた水谷は、まだまだ高みを目指す。

 張本とともに、男子シングルスでベスト8に進出した丹羽孝希(スヴェンソン)も「彼(張本)からは刺激をもらっている」と口にするなど、その存在を意識している。磨きのかかった独創的な速攻で、ディミトリー・オフチャロフ(ドイツ)を下した一戦は会心のゲームと言えよう。張本の覚醒で、その進化はさらに加速していくだろう。

 今大会ダブルスのみの出場で意地を見せた大島祐哉(木下グループ)、吉村真晴、森薗政崇(明治大)らも含め、厳しい競争の中で、男たちは腕を磨く。

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