世界卓球でメダルラッシュの日本勢 東京五輪へ、代表争い激化は必至
ダブルスで存在感増す早田ひな
ダブルスで強さを見せる早田(左)の存在は、五輪の団体戦へ向けて魅力的だ 【写真:Enrico Calderoni/アフロスポーツ】
平野と同学年の伊藤美誠(スターツSC)、早田ひな(希望が丘高)も女子ダブルスで3位入賞と、初の個人戦メダルに輝いた。また、3人より1学年上の加藤美優(日本ペイントホールディングス)も女子シングルスベスト16と健闘を見せる。
個性あるプレーを見せ、若くして国際経験豊富で勝負度胸に溢れている彼女たちだが、まだまだ成長の途中。今大会の張本同様、10代の成長速度は計れない。まだまだブレークスルーの可能性に満ちており、同世代の中で、誰がトップランナーに躍り出ても不思議ではない。
その中で、初の世界戦で堂々のメダル獲得となった左腕・早田のダブルスでの存在感が光る。もともとダブルスでは左利きが有利とされるが、昨年のワールドツアー・グランドファイナルでは浜本由惟(日本生命)とのペアで女子ダブルス優勝、加藤美優とのペアで挑んだ世界ジュニア選手権女子ダブルス準優勝に続き、今大会でも結果を残した。五輪の団体方式ではダブルスがキーマッチとなるが、パートナーを問わず、ダブルスで強さを見せる早田の存在は魅力的だろう。
日本女子のエース・石川も、女子シングルスで8年ぶりのベスト8入りと気を吐いた。準々決勝で丁寧(中国)に敗れたが、「今まではどうやったら勝てるんだろうと思ったけど、今回はもっと磨けば次に勝てるかもしれないと思えたし、目標ができた。半年間やってきた方向性は間違いじゃない」と手応えを口にする。安定した成績を見ても、残る敵は中国勢だろう。今大会で語った「自分で点数を取りにいく卓球をしないと勝てない」という言葉どおり、よりアグレッシブな攻撃に磨きをかけていく。
あらためて感じた中国の超人的なプレー
女子シングルスを制した丁寧(左から2番目)ら。中国勢の強さをあらためて感じる大会でもあった 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】
「中国越えなるか?」と注目の集まった平野も、アジア選手権で勝利していた丁寧に、しっかり対策を練られてリベンジを許した。一度勝っても、次には徹底して逆襲するのが中国の強さ。中国に勝ち続けることの難しさをあらためて感じさせられた。
熾烈(しれつ)な国内競争の先に待つ、東京五輪。その舞台で世界の強豪との争いを勝ち抜いた先に待つであろう中国。この堅く高い壁を越えなければ世界一には届かない。4年に一度のビッグゲームでの頂点に向けて、再び戦いは熱を帯びていく。
(文:浅野敬純/卓球王国)