メッシがクラシコで見せた唯一無二の輝き 流れが一変、リーガ優勝争いの行方は!?

メッシがクラシコで通算500ゴールに到達

決勝点を挙げたメッシ。クラシコでバルセロナでの通算500ゴールを記録 【Getty Images】

 リーガ・エスパニョーラの優勝争いは、4月23日(現地時間)を境に流れが一変した。今季はレアル・マドリーがシーズンを通してほぼ常に首位を保ち、リーグタイトルの奪回に力を入れてきた。それがバルセロナとのエル・クラシコ(伝統の一戦)で予期せぬ敗戦を喫したことにより、6試合を残して全く異なる状況に追い込まれたのである。1試合消化試合が少ないとはいえ、バルセロナに首位の座を譲ることとなった(26日のミッドウイークの試合では、デポルティーボに6−2で大勝。バルセロナもオサスナに7−1と大勝を収めている)。

 この試合でレアル・マドリーに終了直前の決勝点という形で痛恨の一撃を見舞ったのは、またしても世界最高のプレーヤーであるリオネル・メッシだった。バルセロナは敵地サンチャゴ・ベルナベウでのクラシコを3−2で制した。

 この日、メッシは見る者全ての記憶に残る試合をした。それは2ゴールを決めたからでも(クラシコの通算最多ゴール数は23まで伸びた)、マルセロの肘打ちを受けて口から血を流したからでもない。出場577試合目にして、バルセロナでの通算500ゴールに到達したからである。この偉大なる数字は、彼がフットボールをプレーするために生まれてきた天才であることを証明するだけでなく、未来永劫(えいごう)打ち破ることが困難な記録となることだろう。

流血をきっかけに集中力が高まったメッシ

メッシは流血によってガーゼをくわえながらのプレーを強いられたが、それが集中力を高めることとなった 【Getty Images】

 今回は少しばかりメッシについてじっくりと考えてみたい。彼は普通の選手とは一線を画す存在だからだ。たとえばクラシコでの彼は、良い形で試合に入ることができていなかった。恐らく他のチームメートと同様、ユベントスに完敗し、チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝で敗退したショックを引きずっていたこともあり、ゲーム序盤はチームの攻撃に絡むことができていなかった。

 だが、メッシが本来のパフォーマンスを取り戻すには、アンドレス・イニエスタやルイス・スアレスと何度か連係プレーを重ねるだけで十分だった。それだけでなく、彼は他の多くの選手とは対照的に、マルセロの肘打ちを受けて口から流血し、ガーゼをくわえながらのプレーを強いられたことをきっかけに集中力が高まり、プレーのキレを増していったのだ。

 多くの人々の考えとは裏腹に、メッシはマルセロの肘打ちによって完全に目を覚ました。それも暴力行為で報復するわけでも、加害者に文句を言うわけでもなく、ピッチ上で最高のフットボールを体現することで応え、ファンが期待していた以上にバルセロナをタイトル争いに近づけたのである。

 今回のクラシコが開始から終了まで激しい打ち合いが続く一戦となったのは、レアル・マドリーもバルセロナも、そのような試合をするための選手をそろえていたからだろう。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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