遅咲きの新星・大橋悠依が2冠達成 女子競泳界に現れた平井コーチの秘蔵っ子

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200メートル個人メドレーを制し2冠を達成した大橋悠依(中央)。世界水泳の代表にも内定した 【奥井隆史】

 競泳の日本選手権3日目が15日、愛知・日本ガイシアリーナで行われ、女子200メートル個人メドレー決勝では21歳の大橋悠依(東洋大)が2分9秒96で優勝した。前日には400メートル個人メドレーを日本新記録で制しており、これで今大会2冠目。世界水泳(7月14日開幕、ハンガリー・ブダペスト)の代表にも内定した。

内気でナイーブな性格だったが……

 2位に6秒以上の差をつけた400メートルとは打って変わり、この日は序盤から互角の競り合いが続いていた。大橋は最初のバタフライを28秒28の3位で折り返すと、得意の背泳ぎで一気に1位へと躍り出る。しかし、次の平泳ぎでは寺村美穂(セントラルスポーツ)に巻き返され、2位でラストの自由形へ。「平井(伯昌)先生にも自由形勝負になると言われていた」という大接戦の中、自己ベストをたたき出す会心の泳ぎを見せ、あらためてその実力を証明した。

「4個メ(400メートル個人メドレー)は自己ベストを狙っていたので優勝を考えていましたが、正直2個メ(200メートル個人メドレー)は優勝できると思っていなかったです」(大橋)

かつては内気でナイーブな性格だったが、現在は自信もついてきて内面も明るくなったという。優勝時には満面の笑顔を見せた 【奥井隆史】

 優勝時に見せた満面の笑顔が印象的だ。大橋はもともと内気でナイーブな性格だったという。平井コーチいわく「気分屋」でもあり、浮かない顔で練習に現れた日は「すごくダメだった」とムラもあった。大学2年の時には「辞めるんじゃないか」と平井コーチが思うほど、調子を落とす苦しい時期が続いた。

 気持ちの浮き沈みがパフォーマンスに影響を与える中でも、大橋は地道なトレーニングを我慢強く続けた。平井コーチからは「3、4年になって体力がついてからでないとまともな練習ができない」と言われるほど細かった体を、陸上トレーニングで鍛えあげた。努力を重ねる彼女を、平井コーチもきちんと見ていた。練習メニューを伝える際に笑わせたり、自宅にあったお笑いのDVDを手渡すなど「なるべく緊張をほぐすことを意識した」と言う。大橋も「先生には助けてもらってばかり」と語るが、決して「おだてていたわけではない」と平井コーチ。

「厳しいこともやりつつ、彼女が自分の長所に気づいてくれるように、明るい声掛けに気をつけています。だんだんと自信が確信になってきて、内面も明るくなってきたと思います」(平井コーチ)

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