スタート改善で海外経験での成長を実感 走幅跳・佐久間滉大の米国武者修行

構成:スポーツナビ

走幅跳の佐久間滉大に米国・フェニックスでの活動について語ってもらった 【写真提供:佐久間滉大】

 若手アスリートの海外挑戦を支援する安藤スポーツ・食文化振興財団と日本陸上競技連盟が実施する「安藤財団グローバルチャレンジプロジェクト(グロチャレ)」。将来、国際大会でのメダル獲得を志す陸上競技の若手アスリートを支援するため、2015年より始まったこのプロジェクトも2シーズン目となった。

 16年冬、17年春には、短期支援選手として8名が各国に渡航。スポーツナビでは、海外での武者修行を終えた選手たちの声を紹介する。今回は、14年の世界ジュニア選手権(米国・ユージン)で初の国際大会ながら走幅跳5位に入った佐久間滉大(法政大)に、米国・フェニックスでの活動について語ってもらった。

トップ選手との間に感じたパワーの差

■佐久間滉大(法政大)
・派遣先:米国(フェニックス)
・期間:2月3日〜3月6日(約30日)


(米国へ行くきっかけは)昨年も安藤財団のプロジェクトで米国に行かせて頂いたのですが、その時は吉田孝久さん(日本陸連オリンピック強化コーチ/日本女子体育大)に、米国に良いコーチがいるということを大学の苅部俊二監督を通して教えてもらいました。

 そのコーチというのが、ダン・パフコーチという世界的にも有名な方です。跳躍がメーンですが、モーリス・グリーン選手(米国)のような短距離の選手も指導していました。また練習場所のパラダイスバレーコミュニティカレッジでは、跳躍だけでなく、他種目のコーチも沢山いて、米国内からだけでなく、世界各国から指導を受けに選手が集まるところでした。例えば走幅跳だとロンドン五輪金メダル、リオ五輪でも銅メダルを獲得したグレッグ・ラザフォード選手(イギリス)、北京世界陸上で銀メダルを獲得したファブリス・ラピエール選手(オーストラリア)といった、世界のトップで活躍する選手も練習に参加しており、また僕よりも若い選手も指導を受けに来ており、幅広い世代が集まっていました。

世界的にも有名なダン・パフコーチのクラブへ指導を受けに訪ねた 【写真提供:佐久間滉大】

(現地では)週に6日練習があり、1日がオフ日でした。現地ではトップ選手たちの練習も実際に見せてもらい、やっぱり自分とは体力レベルが1つも2つも上だなと感じました。走幅跳でいうと、トップ選手はスピードも違いますが、特にパワーがすごかったです。スタート時の爆発力、踏み切りの爆発力、見ていて分かるぐらいパワーが地面に伝わっている力強い走りでした。

膝下の動きの変化でスタートが改善

現地ではカイルコーチからアドバイスを受け、スタートの改善がうまくいく 【写真提供:佐久間滉大】

(実際の練習では)指導してくれたカイル・ヒーアホルツァーコーチから走りの技術面をアドバイスされました。特に参考になったのが、スタート時に踏み出す足の膝下を締めて走るということ。膝の角度が90度より開いてしまうと、スピードがうまく乗らないので、膝をしっかり曲げて角度を締めて、重心を下でとらえることで、スピードに乗っていくということでした。このような走り方については短距離専門の選手なら当たり前かも知れないのですが、僕は今まで考えたことが無くて、言われて初めて気付くことができました。
 このアドバイスを受けてから、スタートの修正がうまくいき、助走の際にスピードに乗っていると実感できています。日本に帰ってきてからは苅部監督からも「スタートの動きが良くなった」と言ってもらい、成長できているなと感じました。

ウェイトトレーニングには日本にいたときよりも回数が増え、やり方もいろいろ学べてパワーが付いた 【写真提供:佐久間滉大】

 またウェイトトレーニングも日本にいた時は週に2日、3日程度だったのですが、米国では週に4日取り入れていました。今までやっていなかったトレーニングもすごく興味深かったですし、週4日間やっても同じ部位ばかり鍛えるわけでなく、メニューをうまく分けていたので、疲労感が溜まることもありませんでした。

 特にお尻やハムストリングを中心に鍛えて、スタート時の爆発力や、スピードに乗るためのパワーをつけるトレーニングをしました。ほかにも上半身や腕、胸部といった部分も行い、鍛える部位をローテーションさせたメニューを組んで全身を鍛えたので、全体的にパワーがついたように思います。

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