全日本卓球で続いた五輪組の早期敗退 団体銀、吉村真晴が陥った2つのワナ

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 16日から東京体育館で開催中の卓球全日本選手権。リオ五輪のメダリストで、日頃世界を転戦する水谷隼(baecon.LAB)、石川佳純(全農)ら日本のトップ選手が集うとあって、会場は立ち見客が出るほどの盛況ぶりを見せている。しかし男女シングルスの準々決勝が行われた21日、同種目で勝ち残った五輪メダリストは水谷と石川の2人だけだった。

 出場を見送った福原愛(ANA)を除いた5人のメダリストのうち、吉村真晴(名古屋ダイハツ)、丹羽孝希(明治大)は6回戦で、伊藤美誠(スターツ)は5回戦で敗退。メダル獲得の感動から半年、歓喜の立役者たちが国内大会で早々に散っていったワナはどこに潜んでいたのだろうか。

世界で勝利も、国内では通じない武器

リオ五輪のメダリスト3人が、準々決勝を前に敗退。その要因とは…… 【写真:アフロスポーツ】

 昨夏のリオ五輪団体戦準々決勝では香港のエース・黄鎮廷を破るなど、勝負どころでの活躍が印象に残った吉村。その武器はなんといっても切れ味鋭いアップダウンサーブで、2015年にはワールドツアーで2勝を挙げた。世界ランクは日本人選手で5番目に高い28位。しかし世界で勝てたからといって、国内でも通じるとは限らないのが卓球の奥深さだ。吉村は世界ランク115位の神巧也(シチズン)に敗れた一戦をこう振り返った。

「国際大会だと自分のサービスが効いて、チャンスを作って3球目攻撃で決めたり、後に続くプレーができるんです。でも、国内だと(お互いに)やり慣れているところもある。国際大会で勝てる卓球をしていたとしても国内では勝てない、これが現実です」

 神は15年全日本選手権準優勝の経歴を持ち、波に乗った時の爆発力には定評がある。だからこそ吉村はサービスで先手を取りたかったが、高校時代から対戦を重ねてきた神は対策が万全。そして吉村には第2、第3の武器がなかった。相手の得意なフォアハンド勝負に持ち込まれると、序盤2ゲームを落とす。その後も、神の勢いは特大の雄たけびとともに増し続け、吉村は2ゲームを返すのが精いっぱいだった。

「もうワンステップ上に行くためには、今の自分じゃちょっとダメです。フォアハンドだったりバックハンドだったり、技術面で(サービス以外に)自分の持ち味となるものをつかんで、“新しい吉村真晴”を作っていかないと。前からある程度感じてはいたんですが、今回あらためて強く感じました」

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