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日本がサウジを圧倒した3つの要因
はまったハリルホジッチのゲームプラン

指揮官は久保裕也をスタメンに抜てき

W杯アジア最終予選、日本はサウジアラビアに2−1で勝利を収めた
W杯アジア最終予選、日本はサウジアラビアに2−1で勝利を収めた【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 15日に 埼玉スタジアム2002で行われたワールドカップ・アジア最終予選のサウジアラビア戦は、2−1で日本が勝利した。


 ホームでの対戦、11月の走りやすい気候、序盤を過ぎた欧州シーズンで海外組のコンディションは上昇中。そして最終予選4試合を終えて3位に沈んでいた日本にとっては勝ち点3を取るために攻撃的に進めたい試合であり、付け加えるなら、対戦相手はアウェーでのパフォーマンスが落ちるサウジアラビア。


 日本がスタート時点で採用した戦術は、ハイプレスだった。


 その強度を上げるために、右サイドはコンディションに不安のある本田圭佑ではなく、今回ハリルジャパン初招集で、より飛び出しに特徴のある久保裕也をスタメンに抜てき。これは大きなサプライズだった。9月のUAE戦では結果として大島僚太のチョイスに失敗したが、ハリルホジッチは、この大一番にあっても、リスクを負う姿勢を崩していない。


 しかし、この大胆な采配も、サウジアラビアのベルト・ファン・マルバイク監督にとっては、読み通りだったようだ。香川真司、本田、岡崎慎司をスタメンで使わなかったことをどう思うかという質問に対し、「99%こちらの予想どおりになった」と試合後の会見で語っている。


「日本代表がチームとしてプレーする機会がそれほどなかったとしても、この試合で非常に士気高く仕掛けてくることは分かっていた。よって、ああいった時間帯(前半終了間際)にはなるべく静かにプレーする必要があったと思う。今日はそこがうまくいかなかった」


 ところが、想定内の日本に対し、サウジアラビアは序盤から後手を踏み続けた。その要因の1つは、ハリルホジッチが就任時から一貫して求めてきた、デュエル(球際の競り合い)のベースアップだ。


 特に原口元気は圧巻だったが、それ以外にも日本は全員でサウジアラビアに激しいプレッシャーを浴びせ、ミスを連発させた。10月に対戦したイラクのように、さっさとロングボールを蹴り出されると日本としては厄介だったが、技術に自信があるゆえか、サウジアラビアはグラウンダーにこだわるきらいがあり、ハイプレスの標的としてはくみしやすかった。

日本に攻略されたサウジアラビアの狙い

清武はMFとDFの間のスペースを使いながら、自由にプレーし相手の守備ブロックを崩し続けた
清武はMFとDFの間のスペースを使いながら、自由にプレーし相手の守備ブロックを崩し続けた【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 そして前半を日本が圧倒したもう1つの要因は、サウジアラビアの4−4−2ディフェンスの完成度が低かったことだろう。


 攻撃においては、4−3−3で幅を使った攻めを志向したサウジアラビアだが、守備になると左ウイングの18番ナワフ・アルアビドが下がり、10番モハンメド・アルサハラウィと17番タイシール・アルジャッサムの2トップで4−4−2に変形。サウジアラビアは守備ブロックを敷き、日本にボールを持たせ、試合をコントロールしようと試みた。


 ところが、サウジアラビアの4−4−2は全くコンパクトではない。MFとDFの間に間延びしたスペースがあり、原口のほか、ここで縦パスを受けるプレーを得意とする清武弘嗣が自由にプレーし、相手の守備ブロックを崩し続けた。


 サウジアラビアがディフェンスラインを押し上げられなかったのは、大迫勇也がしっかりとセンターバックと対決して攻撃の深さを作ったから。久保もミスは多かったが、裏への飛び出しで相手のラインコントロールをけん制した。


 加えて、各ラインが連動していないサウジアラビアは、日本のパスの出し手に対しても、FWが制限をかけられず。長谷部誠が相手2トップの脇や間に下がり、森重真人を縦パスの出し手として生かすか、あるいは自ら縦パスを入れるシーンが目立った。結果として、ゾーンディフェンスで試合をコントロールしようと試みたサウジアラビアの狙いは日本に攻略され、水泡に帰した。


 こうして、ハイペースを望む日本と、スローダウンを望むサウジアラビアの相対する狙いは、日本側が凌駕(りょうが)することになった。サウジアラビアは攻守の切り替えが遅く、カウンターのスペースを提供してくれる。ゲームスピードの速い展開では、明らかに日本に分があった。

清水英斗
清水英斗

1979年12月1日生まれ、岐阜県下呂市出身。プレーヤー目線で試合の深みを切り取るサッカーライター。著書は「欧州サッカー 名将の戦術事典」「サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術」「サッカー観戦力 プロでも見落とすワンランク上の視点」など。現在も週に1回はボールを蹴っており、海外取材では現地の人たちとサッカーを通じて触れ合うのが楽しみとなっている。

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