初の海外馬券発売がもたらしたもの JRA、報道各社の今後の課題

ザッと42億、想定外の売上

日本では初の海外馬券発売となった10月2日の凱旋門賞、今後の課題とは? 【Getty Images】

 マカヒキが日本調教馬として延べ20頭目の挑戦を敢行した第95回凱旋門賞。このレースはまた、国内で初めての海外競走馬券発売が実施されるとあって、レース前からいつにない大きな注目を集めました。

 インターネット販売限定、オッズは国内独自の“独立プール方式”。それでどのくらいの売上があるのか? さまざまなところでいろんな意見を見聞きしました。

 主催者であるJRAでは、当初4〜5億円を想定していた、と報じられていますが、これはいくら何でも控え目過ぎでした。実際、筆者の知るJRA関係者は、希望的観測として、と前置きしつつ「20億近くいってくれると……」と言ってましたが、筆者もそのくらいはいくだろうと考えていました。一方で「10億いけばいい方」という悲観的な見方をするメディアの方もいらして、とにかく予想は難しかったのです。

 それが蓋を開けてみれば実に41億8599万5100円。ザッと42億売れたというのですから、これはもう殆どの関係者の想定をはるかに超えた結果、と言えます。

 このことは、ここ数年のJRAの精力的なコマーシャル戦略の成果が大きな一因となっているでしょう。それと関連しているのかどうか、レース前々日の金曜日、前日の土曜日と、NHKのニュースで取り上げられ、このことも起爆剤になったかもしれません。

 懸念されたネット限定発売とて、考えてみれば“イベント参加切望派”には当たり前のアイテム。売上にプラスこそすれ、マイナスになりようがなかったわけです。

 ともかく、JRAとしては大成功の海外馬券発売でした。ちょっと表現は悪いですが、「他人のふんどしで相撲を取って約42億円」みたいなものですから。

 25%の控除率分はそっくりでしょうし、国庫納付金の一部などはどのような扱いになるのか。そのあたりも詳らかにしていただけると興味深いです。

 勿論、主催国への何らかの配慮とか、大々的なコマーシャル費用、国内とは違うネット販売のシステムの変更等、初期投資が相当額あったのは理解できるとして、ですが。

 ともかく、それに気を良くした、というわけでもないのでしょうが、11月1日にオーストラリアで行われるメルボルンCと、同5日にアメリカで行われるブリーダーズCフィリー&メアターフの馬券が新たに発売されることになりました。さて、二匹目の何とかがいるのかどうか。

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著者プロフィール

中央競馬専門紙・競馬ブック編集部で内勤業務につくかたわら遊軍的に取材現場にも足を運ぶ。週刊競馬ブックを中心に、競馬ブックweb『週刊トレセン通信』、オフィシャルブログ『いろんな話もしよう』にてコラムを執筆中。

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