初の海外馬券発売がもたらしたもの JRA、報道各社の今後の課題

海外競走発売、この先の展望、課題は?

 ここまでを見ると、海外競走馬券発売、いろんな意味で幸先のいいスタートを切ったと言えそうです。冒頭に触れたメルボルンC、ブリーダーズCの例からも、今後益々馬券を発売する海外のレースは増えていくことでしょう。

 さてその際に、今回と同じスタンスで海外馬券発売と向き合っていいものかどうか。

 例えば凱旋門賞の場合、レースが終わって結果が確定し、払い戻しまでの時間差が20分くらいありました。今回は発売されたのが1レースだけでしたから問題なかったですが、これが香港やドバイなどのケースで、複数レースを発売するとなった場合、連続して購入したいファンへの対応をどうするのか。

 馬券と言えば、そもそも機械で“発券した馬券”を購入したいファンの思いも根強く、将来的な導入が可能なのかどうか。

 また、発売するのは日本馬が出走するレースに限られているわけですが、その日本馬がレースの前日に出走を取り消す、などの事態が生じたら……(これはまあいいか?)。

 情報提供面についても、主催者であるJRAだけでなく、報道各社がどう対応していくのか。はたしてきめ細かなサービスや、エンターテインメントの創出が可能なのか。

 その点を言うと、まずJRA自体が対象レースのすべてに、今回と同じレベルのコマーシャルを展開していくのかどうか。これ、重要です。社会的な注目度、ひいては売上に、最も影響しかねないわけですから。

 いずれにしても検討すべき課題は少なくありません。

 何しろスタートしたばかりの海外競走馬券発売。しばらくの間は、やっぱり試行錯誤しながら、になりそう。その間の楽しみ方については、これまで以上に個人個人の感性が問われることになります。

 大袈裟ではなく、“歴史の転換点の一場面”に身を置いているようなもの。そのくらいの気合い、心持ちで、この一大トピックと向き合いたいものです。

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著者プロフィール

中央競馬専門紙・競馬ブック編集部で内勤業務につくかたわら遊軍的に取材現場にも足を運ぶ。週刊競馬ブックを中心に、競馬ブックweb『週刊トレセン通信』、オフィシャルブログ『いろんな話もしよう』にてコラムを執筆中。

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