初の海外馬券発売がもたらしたもの JRA、報道各社の今後の課題

海外競走発売の意義

マカヒキ敗戦により起こった議論の数々は競馬の将来に大きな意味がある 【写真は共同】

 そのトピックの今後、に移る前に、凱旋門賞で16頭立て14着に終わったマカヒキについても触れておきましょう。

 勝ったファウンドから3着までをアイルランド馬が占める中で、またしても世界の壁を突きつけられた結果になりました。

 従来ですとここで「気持ちを切り替えて、また来年以降の挑戦に期待しよう」というだけの話に落ち着きかねません。

 が、これまでと違って今回は馬券が発売されました。容易に想像できた通り、“独立プール方式”らしく1番人気。その馬の惨敗です。他の海外競馬とは違った形の回顧、考察といったことが各方面から出てきました。

 凱旋門賞レコードの決着に対応できなかったことや、外枠から「引っかかった」というレース後のルメールのコメントについて。或いは日本独特のスローペース競馬の在り方、はたまた「マカヒキ級ではなく、ディープインパクト、オルフェーヴルのクラスでないと」といった無い物ねだりの発想まで。

 凱旋門賞を勝つ資格として、必ずしも“日本最強”である必要はないと思いますが、ひとまず細かいことはさておいて――。

 今回の海外競走の馬券発売の最も大きな意義が、上記のような様々な「回顧、考察」にあったように思います。

 普段はあまり海外の競馬に興味がなかった人達にも目を向けてもらい、新鮮な競馬の捉え方をうながした、という意味で。

 面白いことに、それは私ども業界の人間も含まれています。レースまでの調整方法とか騎手の乗り方とか、日本国内の競馬ではあまり聞くことのできない、いわゆる“関係者批判”を結構耳にしますから。

 たとえそれが的外れに思える中身だったとしても、結果を出せていない日本馬にとっては、正解がどこにあるのかわかりようがありません。ああでもないこうでもないと、関係者に限らず、多くの競馬ファンが様々な角度から語り合うことには、競馬の将来に大きな意味があるはずです。

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著者プロフィール

中央競馬専門紙・競馬ブック編集部で内勤業務につくかたわら遊軍的に取材現場にも足を運ぶ。週刊競馬ブックを中心に、競馬ブックweb『週刊トレセン通信』、オフィシャルブログ『いろんな話もしよう』にてコラムを執筆中。

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