有馬記念の12月28日固定は無理がある? 競馬のある日が“競馬の日”

9月16日が“競馬の日”って、知ってました?

降ってわいた「有馬記念を12月28日に固定する案」、みなさんどう思います?(写真は13年有馬記念) 【写真:中原義史】

「〜の日」というのはいろいろあって、「防災の日」のように政府が制定したものから、「終戦記念日」みたいに社会的大事件で諸説あるものや、各機関が勝手に決めたものまで様々です。

 スポーツの世界でも「野球の日」、「サッカーの日」なんてのはよく知られているでしょうか。

 で、“競馬の日”。

 9月16日が“競馬の日”だというのをご存知でしたか?

 昨年、JRAが創立60周年で様々なイベントが開催されたことは記憶に新しいですが、1954年9月16日に日本中央競馬会――すなわちJRAが設立されました。

 それを記念して“競馬の日”ということになっているようです。

 しかし、この“競馬の日”。それなりに日本社会に定着している競馬なのに、残念ながら周知度は低いようです。

 その原因は、やっぱりどことなく「会社の創立記念日」っぽいところがあるからでしょうか?

「野球の日」が8月9日(八と九でや・きゅう)で、「サッカーの日」の11月11日(11対11で戦うから)という説明は、まあストンと腑に落ちやすいですが、競馬の記念日を「一企業がスタートした日」と言われてもピンと来ないのは無理もないように思えます。

 JRAの関係者の皆さん達が、どこか気恥ずかしく感じて、周知を徹底する動きが出てこないのもわからなくはありません。

12月28日が“新・競馬の日”?

 それを考慮したのかどうか。9月中旬に一部スポーツ紙で、「毎年12月28日を開催最終日に固定して、その日に有馬記念を施行する案」が報じられました。

 記事は、イベントとしてのオーラス感を高め、その日を“競馬の日”としてファン以外への認知を図る、といったようなこと。

 正直、いきなり何の話なのか、と思いました。JRAからは正式発表もなく、関係者から漏れ伝わってきた、しかもごく限られた情報に過ぎなかったからです。当初は冷めた感覚でいたのですが、すぐに各ソーシャルメディアで“大反対”の声が上がりました。

 と言うのは他でもありません。来年の12月28日が平日の水曜日だからです。

 前置きするまでもないかもしれませんが、筆者も「平日の12月28日有馬案」はどうかと思います。ただ前記した通り、漏れ伝わってきた情報に過ぎず、噂話である可能性も否定できませんから、もう少し冷静に事の成り行きを見てみよう……なんて思っていただけに、ネット社会の情報拡散のあり方をそら恐ろしく感じさせられました。

 実際、9月末に知り合いのJRA職員さん数人とこの件について話す機会があったのですが、「どこから出た話なのかわからないですが、こんな迷惑な話はないと思います。意図がわかりませんものね」と口を揃えて苦々しく話されていましたから。

 それはともかく。

 この手の「漏れ伝わってきた情報」が、往々にして実現してきたと感じているファンが少なくなかった、とは推察されます。だから逆に、もしかすると意図的な情報リークで世論の反応を伺った?……みたいな穿った見方をする方もいらっしゃるかも。

 それはまあ冗談として、その後、競馬施行規則に、12月28日開催が可能になった(必ず開催する、という意味ではなく)ことが追加されて今にいたるわけですが、10月19日にJRAが発表した来年度の開催日程によれば、とりあえず、来年の有馬記念は12月25日の日曜日で落ち着きました。

 フライング気味にスタートした“平日28日有馬反対運動”。これが開催日程や番組編成等に携わる関係者の意思決定に影響したのであれば(そんな単純なことではないかもしれませんが)、決して無駄な論争ではなかったと言えそうです。

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著者プロフィール

中央競馬専門紙・競馬ブック編集部で内勤業務につくかたわら遊軍的に取材現場にも足を運ぶ。週刊競馬ブックを中心に、競馬ブックweb『週刊トレセン通信』、オフィシャルブログ『いろんな話もしよう』にてコラムを執筆中。

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