子供たちもシーズン終了、1年を総括 スペイン暮らし、日本人指導者の独り言(8)
スペイン代表の試合と子供の練習が重なる!
閉会式。ユーロ開幕日の6月10日がクラブの閉会式だったが、この後2週間スクールの練習は続いた 【木村浩嗣】
ご存じのように欧州のサッカーシーズンは、基本的に8月中旬に始まり、5月最終週のチャンピオンズリーグ決勝をもって終わる。子供のサッカーシーズンも大人と同じ。ユーロで熱戦が続いているのに、子供たちが練習していてはいけない。そういうルール、あるいは暗黙の了解になっている。6月13日には、15時キックオフのスペイン代表の試合と子供の練習が重なる、という最大のタブーが破られてもいた。
子供がサッカーを学ぶのにプロのプレーを見ることは非常に重要である。「学ぶ」は「真似ぶ」である。このコラムでも何回か言及したスペインの子供の創造力の豊かさは、レベルの高いプロのプレーを真似することで身に付いている。監督が「クリエーティブなプレーをしなさい」と命じるからできるものではないのだ。技術では劣っていない日本の子供たちがスペインの子供たちに発想や創造力の豊かさで劣っているとすれば、レベルの高い試合を目にしてきた数と量の差によるものだ、と思う。この部分では圧倒的にスペインの子供たちの方が勝っている。
6月に入り、35度を超える日も珍しくない
暑くて閑散としたグラウンド。この日の気温は36度で、親が子供を練習に出さないというのは無理もない 【木村浩嗣】
これはわれわれのチームがスクールであり、クラブチームのように連盟管轄ではないゆえなのだ。われわれの管轄機関はセビージャ市役所であり、活動期間は公のスクールカレンダーによって定められている。スペインの小学校は9月始まり6月終わりであり、終業の日の6月22日までわれわれの練習も続くのだ。スペインでも特に暑いことで知られるセビージャでは、5月に入って30度を超えるようになり、6月に入った今は35度を超える日も珍しくないのに……。
この原稿を皆さんが目にしている時には、シーズンも終了済ということで、今回は1年の総括をしておこう。