永井優香「全日本では表彰台が目標」 女子フィギュアの次代を担う16歳
宮本さんに教わった腕を長く見せるコツ
すごく面白い方です。関西の方なのでツッコミとかがとても鋭くて、一緒に喋っていると楽しいですね(笑)。
――宮本さんからは具体的にどういった指摘を受けることが多いのですか?
私は腕を開くときに短く見えてしまうので、それを長く見せるためのコツとかを教えてもらいました。具体的には顔を上に向けて、全体を伸ばすようにしたら少し良くなりましたね。こうした腕を長く見せる方法だとか、首の使い方だとかは面白いと思ったし、なるほどと思ったところがたくさんあったので、今後直していきたいです。
振付師の宮本賢二からは、腕を長く見せるためのコツなどについて指導を受けたという 【中莖かうり】
最初に見本を見せてもらうんですけど、とにかくそれが上手だなと思いました。何て言うんでしょう。なんか見せ方が惹きつけられる感じと言うか……伝えるのが難しいんですけど(笑)。
――シェイ=リーンさんには昨季のSP『エデンの東』の振り付けもしてもらっていますが、彼女の指導方法などで「変わっているな」と感じた部分はありますか?
今まで(関)先生や賢二先生、あと他の方に少し習ったくらいんですけど、日本の振付師の方は曲を聴いてからプログラムを作って、それを選手たちに教えるという形なんですね。シェイ=リーンの場合は曲を聴いて作って選手に教えるまでは一緒なんですけど、それがきれいじゃなかったらすぐに変えたり、できていなかったらすぐに変えて「これならきれいにできるよ」というアイデアがぽんぽん出るんです。それは最初すごくびっくりして……。自分の中で変える前のものと混ざったりするので、対応するのが大変でした(笑)。
昨季のSP『エデンの東』もシェイ=リーン・ボーンの振り付けだった 【坂本清】
緊張をほぐした「レリゴー」
高校に入ってから練習時間が増えたので、試合のときに自信を持って滑ることができたのかなとは思います。それと今までは、緊張でガチガチになって力を出せなかったんですけど、昨シーズンは緊張するよりも楽しんで滑ろうと思ってやったらちょっと良くなりました。
――あまり緊張はしなくなったのですか?
緊張は多少しないと良い演技ができないと思いますけど、良い緊張に持っていくためにわざと楽しいことを考えたり、気持ちを前向きにしようと意識していましたね。
高校に入ってからは練習時間が増え、試合のときに自信を持って滑ることができるようになった 【中莖かうり】
好きな曲を聴いたりとか、誰かと話したりとかですね。昨シーズンは『アナ雪(アナと雪の女王)』の主題歌『Let It Go』が流行っていたので、それを聴いていました。シーズン最初のジュニアGPシリーズのときに、練習がうまくいっていなくてどうしようと思っていたんですけど、その曲を聴いて6分間練習の後も歌っていたらなんかいける気がしたんです。それで滑ったらうまくいったので、その後はずっと「レリゴー」って(笑)。最後の方はちょっと飽きてしまいましたけど。
――(笑)。今季はどうするんですか?
今季はレリゴーにこだわらず、いろいろな曲を聴きたいと思います(笑)。
新葉から刺激を受けている
ジャンプに関しては、まず今やっているトリプルをもっと安定させること、そして将来的にはトリプルアクセルとかも入れられるようになれればいいかなと思います。表現についてはまだジュニアみたいな感じがするので、少しずつシニアっぽくしていきたいと思います。
――今後挑戦してみたい曲のジャンルはありますか?
いろいろありますね(笑)。特にタンゴはちょっと滑ってみたいなと思っています。
――他の選手のプログラムで好きなものはありますか?
う〜ん……今シーズンの樋口新葉(日本橋女学館)選手のFS『マスク・オブ・ゾロ』は好きですね。最近は少ないんですけど4月や5月はけっこう一緒に練習していたので、すごくかっこいいなと思って見ていました。
樋口新葉(写真)からは刺激を受けることも多い。彼女の今季のFS『マスク・オブ・ゾロ』は好きなプログラム 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
そうですね。去年は新葉がジュニアに上がってきたので、一緒に戦うことも多くなったし、とても刺激になりました。試合のときは集中しているし、練習のときも曲かけを何回も何回もしていて、ずっと動き回っているんですよ。そういうところがすごいなと思いました。
――今季はGPシリーズにもエントリーし、年末の全日本選手権の結果次第では世界選手権への出場も見えてくると思います。目標を教えてください。
とりあえず、まずは焦らずに練習通りできればいいかなと思います。そしてSPとFSをノーミスでできるようにして、全日本選手権では表彰台に立つことを目標としていきたいです。
(取材・文:大橋護良/スポーツナビ)