J特別指定選手、長澤が語る大学の強み=横浜FMで感じたプロ選手との差
その有望株として注目されるのが、Jリーグの特別指定選手に指名され、今季から横浜F・マリノスに選手登録されている専修大学の長澤和輝だ。その長澤が、自身の育った“大学サッカーの強み”や“大学でサッカーをすることの意味”について話してくれた。
試合経験を積めるのが大学サッカーのメリット
自分はU−17、18の代表歴はなく、高校での実績もなかったんです。実績がなければ強い大学に行くのも難しく、行ける大学も限られてきます。そんな中でも、専修大学を含めていろんな大学から練習参加をする機会を与えてもらえたんです。専修大学はパスサッカーをしていて、足元の技術もみんな高く、面白いサッカーをするなと思いました。あとは、高校では体育科だったんですけど、大学では普通科に行きたいというあこがれもあって(笑)。最終的には源平貴久監督が誘ってくれたというのも大きかったです。
――昔は高校を卒業してプロになる選手が多かったですが、大学を経由してJリーグで活躍する選手も増えています。そのことをどう考えていますか?
自分が高卒でプロへ行けるわけではなかったですし、行ったらどうなっていたかはわからないですけど……。(原口)元気(浦和レッズ)とかは高校を卒業してプロに行って、すごく活躍している。彼が大学に行っていたとしたらすごくもったいなかったとは思うんですよね。でも自分の場合、高校を卒業してプロで活躍する実力は絶対になかったと思うし、しっかり自分の能力を伸ばしていける大学に行ってプレーをしたことは結果的によかったと思います。
――プロになって試合に出られないより、大学で出場機会を得る方が良いとよく言われますが?
Jリーグも1年に何十試合もあると思いますけど、大学リーグもそれなりに多く公式戦はあります。高卒でプロに行っても、試合に出れずにサブで過ごす生活が続くようなら、大学リーグで実戦経験を積んだほうが、自分のためにいいんじゃないかなとは思います。まあ、Jリーグで出られるのが一番いいんですけど。やっぱり、試合経験を積めるというのは大学サッカーの一番のメリットではありますね。
プラスアルファを求め、特別指定選手へ
やっぱり、“考える力”です。高校までは、多くの人がそうだと思うんですけど、1日のサイクルが決められている。何時から朝練があって、授業があって、午後何時から練習があって……という感じですね。ただ、大学はそうではない。特に専修大学はそうなんですけど、筋トレは一切ないし、自主練も自由に、個々の裁量に委ねられているんです。練習は朝の7時から8時半まで。そこの1時間半しかやりませんよ、という感じです。普通に考えて、それだけしかこなしていないチームは日本一(編注:一昨季、昨季と関東大学リーグ2連覇を果たしている)にはなれないと思うんです。でも、一人ひとりが練習以外のときもサッカーについて深く考えて、どうすれば上に行けるかを考えて行動したから、今の結果につながったんだと思います。自分に関しては自由な時間をどうサッカーに費やすか、ということを深く考えましたね。
――プロからも興味を持たれ、特別指定選手としての行き先に横浜FMを選んだ理由を教えて下さい
話はいろいろとあったんですけど……。大学2年、3年時と関東1部リーグで試合に出場して、リーグも2連覇しました。それで4年生になったときに、今までのことに加えてもっと違うこともできるんじゃないかなと考えるようになったんです。次のステップに向けての準備と、自分の成長を考えて、プラスアルファのことをしたほうがいいんじゃないかなと。そういう考えもあって、プロのチームに入っていろいろと学んで、大学リーグも戦って、選抜もこなして。そういうハードスケジュールの中で良い経験ができればいいなと。横浜なら近いですし、経験豊富なベテラン選手がたくさんいるので、勉強になると思って。