ヤングなでしこは「世界一」になれるのか=U−20女子ワールドカップ展望
2年前のU−17女子W杯では準優勝
司令塔として攻撃のタクトを振る田中陽 【写真:杉本哲大/アフロスポーツ】
ヤングなでしこたちは、目標を「世界一」に定める。それには大きな根拠がある。中心メンバーは2年前のU−17女子W杯で準優勝を経験した。世界トップレベルの技術を披露しつつ、決勝では先行しながらも韓国に追いつかれ、PK戦の末に敗れた。「持ち帰った銀メダルには、うれしさよりも悔しさが詰まっている」とは、当時のチームでも現在のU−20でも左サイドバックを務める浜田遥だ。彼女をはじめ多くの選手たちは、銀メダルを見つめながら、それぞれが成長を誓い合ってきた。
また、前回(2010年)に続き、2度目のU−20W杯に挑む選手たちもいる。キャプテンのMF藤田のぞみと、MFまたはセンターバックで起用される木下栞の2人だ。彼女たちは2年前、グループステージ敗退という屈辱を味わった。「決勝トーナメントに行けなかった悔しさもあるし、今度は優勝したい」(木下)と、リベンジに懸ける意気込みは強い。
ヤングなでしこを率いる指揮官は、元日本代表FWの吉田弘監督だ。03年から04年にはなでしこジャパンのコーチを務め、07年以降はU−16、U−17女子代表監督を歴任。11年からはU−19、U−20女子代表監督も兼任している。吉田監督は今大会に向けて、「3点取られても、5点取るような面白いゲームがしたい」と、超攻撃的サッカーを掲げる。指揮官の言葉を裏付けるように、今大会の出場権を懸けた昨年のU−19アジア女子選手権では、5試合で13得点を挙げて勝ち抜いてきた。
攻撃のキーは田中陽と猶本
では、ヤングなでしこは本番で、どのような戦いをするのだろうか。これまでどおり、フォーメーションは4−2−3−1を基本に臨むだろう。ボランチの猶本光がボールをさばき、トップ下の田中陽子が司令塔の役割を果たして攻撃のタクトを振る。この縦関係の2人がキーになって攻撃を展開していくはずだ。また、先述した2010年のU−17女子W杯、準決勝の北朝鮮戦で5人抜きドリブルからのゴールを披露し一躍有名になった左ウイングの横山久美、日本女子サッカーリーグ2部(チャレンジリーグ)で得点王争いをリードする170センチの大型FW道上彩花ら、個人技に長けた攻撃陣が絶妙な距離感で絡み合ってゴールを狙う。
また、弱冠16歳のセンターバック土光真代にも注目したい。なでしこリーグの名門、日テレ・ベレーザに登録された今季、開幕からレギュラーとして出場を続け、リーグ最少失点に貢献している。土光は唯一の飛び級招集になったが、吉田監督は「年齢は下だが、守備的な部分でいいものを持っている。(なでしこリーグで)スタメンとして出ている試合感覚を生かしてもらいたい」と、その活躍に期待を寄せる。