ヤングなでしこは「世界一」になれるのか=U−20女子ワールドカップ展望

砂坂美紀

グループ1位通過のライバルはメキシコか

 16チームが参加するU−20女子W杯において、ヤングなでしこはグループリーグ(A組)でメキシコ、ニュージーランド、スイスと対戦する。ヤングなでしこと1位通過を争うライバルの名を挙げるとすれば、開幕戦で対戦するメキシコが有力だろう。

 メキシコの中心選手は、GKサンチアゴとMFランヘルだ。2人はフル代表でもレギュラーを務めており、昨年のW杯ではなでしこジャパン戦にも出場していた。U−20とフル代表の指揮官を兼任するクエジャール監督も「今回のチームには昨年のW杯経験者もいるし、世代別の世界大会を経験した選手も豊富。なので、戦術を十分に整えて日本戦に臨みたい」と抱負を述べる。対する吉田監督も「メキシコがグループのなかで一番力を持っている相手」と、警戒する。

 ヤングなでしこは、8月19日に宮城スタジアムでメキシコと対戦する。続いて、22日に同じく宮城でニュージーランドと、26日には国立競技場に舞台を移してスイスと顔を合わせる。

 決勝トーナメントは、おそらく難関続きとなるだろう。準々決勝で当たる見込みが高いのは、韓国またはナイジェリアだ。韓国は2年前のU−17女子W杯の優勝国で、この世代の覇者であり、ナイジェリアは前回大会(1世代上の選手たち)の準優勝国である。準決勝以降は、優勝候補のドイツまたは米国との対戦が予想される。

 最後に、この大会をこのタイミングで、日本で開催することの意義について私見を述べたい。大会のスローガンは“HOPE LEADS.”=「希望が、みちびく。」だ。この大会は、世界が注目するサッカーの大会を開催し、各国の選手たちをあたたかく迎え入れることで、日本が東日本大震災から希望とともに立ち上がる姿を世界中にアピールできる機会だと言える。来日した各国の選手や関係者に、「日本はいいところだよ」と感じていただける大会になってくれればと願う。もちろん、若き女子選手たちのひたむきなプレーが、日本国民の勇気や希望につながればいいと思う。

<了>

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著者プロフィール

1975年生まれ。福岡県出身。高校時代は女子サッカークラブ「大分ミラクルレディース」でプレー。97年、大学在学中よりフリーライターに。国内外の女子サッカーを約15年取材し続けている。著書『なでしこ つなぐ絆 夢を追い続けた女子サッカー30年の軌跡』(集英社)。共著書『なでしこゴール! 女子のためのサッカーの本』(講談社・日本サッカー協会推薦図書、全国学校図書館協議会選定図書)。『なでしこ力』『なでしこ力 次へ』(佐々木則夫著・講談社)編集協力

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