翌週に迫るエル・クラシコの勝者は? レアル・マドリーの優位を予想する理由

両者の対戦は常に接戦になる

現在でリーガで首位を走るレアル・マドリーと2位につけるバルセロナ。両者の対戦は常に接戦になる 【写真:ロイター/アフロ】

 この週末に行われる第13節の結果次第とはなるが、12月3日(現地時間、以下同)にカンプノウで行われる”エル・クラシコ(伝統の一戦)”は、バルセロナにとって首位レアル・マドリーに肉薄する絶好のチャンスとなる。(編注:第12節終了時点で両チームの勝ち点差は4)

 今や世界で最も重要な一戦と見なされるようになったこの試合を、2チームはどのような状態で迎えるのだろうか。

 両者の対戦は常に接戦になることに加え、現時点でいえばリーガ・エスパニョーラの得失点差もがレアル・マドリーが+24、バルセロナが+19と大きな差はついていない。それでも、今季ここまでの戦いぶりを見る限りはロス・ブランコス(レアル・マドリーの愛称)の優位を予想させる要素が目につく。

 レアル・マドリーは前週末、アトレティコ・マドリーとのダービーを制したばかりだ(なおアトレティコ・マドリーは来季から新スタジアムのラ・ペイネタに本拠地を移すため、これがリーガではビセンテ・カルデロンで行われる最後のダービーとなった)。

 この試合は前半23分、クリスティアーノ・ロナウドの直接FKが壁に当たってコースを変え、GKの逆を突く幸運な形で均衡が破られた。だが、レアル・マドリーは3−0というスコアだけでなく、プレー内容でもほぼ90分間、いともたやすくゲームを支配し続けた。それは敗れたディエゴ・シメオネ監督も認めざるを得ない事実だった。

たくましさを感じさせるロス・ブランコス

マドリーダービーを3−0で制したレアル・マドリー。主力の不在を感じさせない安定感を見せた 【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】

 本連載でも繰り返し説明してきたとおり、ジネディーヌ・ジダン率いるレアル・マドリーの好調は洗練された戦術や革新的システムなどによるものではない。いたってシンプルなプレーコンセプトと健全なグループマネジメント、選手たちを包む落ち着いた雰囲気に支えられてきた。

 それでもジダンが選手たちに置いている信頼の厚さは十分に伝わってくる。

 たとえば前述のマドリーダービーではセルヒオ・ラモスやトニ・クロースがプレーせず、カリム・ベンゼマも後半途中からの出場にとどまったものの、彼らの不在は全くと言っていいほど感じられず、代わりにプレーした選手たちが、しっかりとその穴を埋めていた。

 現在のレアル・マドリーは選手層の厚みを増したことで、誰が試合に出ても課せられた任務を全うし、生じた問題を解決するたくましさを感じさせる。さらには、ここにきて少しずつ負傷者が復帰し始めていることもプラス材料だ。

 チャンピオンズリーグ(CL)ではスポルティングCPとの第5節を終えた時点でドルトムントにグループ首位の座を譲ってはいるものの、今回に限っては2位通過した方が難敵との対戦を避けられる可能性もあり、逆に好都合だとも言える。

 レアル・マドリーは今週末、ホームでスポルティング・ヒホンと対戦する。普通にいけば彼らが、この試合で勝ち点3を加えると考えるのが妥当だろう。現時点で勝ち点4差を付けられているバルセロナが苦手とするアウェーでのレアル・ソシエダ戦で勝ち点を逃すようであれば、ロス・ブランコスは精神的により優位な状況でカンプノウに乗り込むことができる。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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