バルセロナは本当に偉大なチームなのか? 采配でなく、選手の才能に依存した成功

首位レアル・マドリーを勝ち点2差で追う

CLではマンチェスター・シティに敵地で敗れたバルセロナ。だが、決勝トーナメント進出に支障はなさそうだ 【写真:ロイター/アフロ】

 バルセロナは6日(現地時間)、ラモン・サンチェス・ピスフアンにてセビージャを2−1で破り、次節にビセンテ・カルデロンでのマドリーダービーを控える首位レアル・マドリーを勝ち点2差で追っている。

 セビージャ戦の5日前のチャンピオンズリーグ(CL)では、ジョセップ・グアルディオラ率いるマンチェスター・シティに敵地で敗れたものの、グループリーグの折り返し時点で勝ち点9を積み重ね、現在も首位を維持していること、そして残る2試合の対戦相手を考えても、バルセロナの決勝トーナメント進出に支障はなさそうだ。

 2006年以降に4度のCL優勝を成し遂げ、過去8シーズンで6度のリーガ・エスパニョーラを制覇してきた。圧倒的な結果を出してきたことは事実ながら、現在のバルセロナは連動性やプレー内容、戦術的なまとまりといった観点で、真に恐るべきチームだと言えるのだろうか?

 選手時代にチームに貢献しただけでなく、レアル・マドリーからバルセロナに移籍した上でこの地のカタルーニャ愛にも同調したルイス・エンリケは、地元ファンにとって疑いの余地なき“アイドル”だ。さらには監督として就任初年度から獲得可能な6タイトルのうち5つを勝ち取り、昨季もリーグと国王杯で2連覇を成し遂げた。

イニエスタを失うと、ライバルに主導権を握られ……

今のバルセロナはイニエスタを失った途端、ライバルにゲームの主導権を握られるようになってしまっている 【写真:ロイター/アフロ】

 今やカンプノウでは毎試合ルイス・エンリケの名前がコールされるようにもなった。それでも彼の就任以降、バルセロナを支えてきたのが選手個々の素晴らしいパフォーマンス、何よりMSNの愛称で知られるスペクタクルな3トップ(リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマール)であることは確かだ。

 もちろんハビエル・マスチェラーノやジェラール・ピケ、ジョルディ・アルバ、イバン・ラキティッチ、セルヒオ・ブスケツらチームのキーマンたちの貢献に疑問符を付ける余地はない。

 しかし、今回もまたバルセロナはチームの創造性を担うアンドレス・イニエスタをケガで失った途端、ライバルにゲームの主導権を握られるようになった。

 ボールポゼッションの“質”において、トップレベルであるマンチェスター・シティに圧倒されたのはまだ予想し得たことである。しかしながら、同様の光景はセビージャ戦でも繰り返された。特にこの試合の前半、アンダルシアの選手たちが極めて高い位置からプレッシャーをかけ続けた結果、バルセロナはなすすべなく先制点を奪われた。

 だがホームのセビージャは自分たちの時間帯を十分に生かすことができず、追加点のチャンスを何度も逃し、しまいには43分、5日前のマンチェスターに続いて要所で現れた天才メッシに同点ゴールを許すことになった。

 後半は前半に行ったハードワークによる疲労に加え、ハーフタイム直前というタイミングで生じた失点による精神的ショックも受けたセビージャがプレスの勢いを落とした。おかげでバルセロナはボールの支配権を取り戻し、スコアをさらに広げられるだけのチャンスを作り出した末、スアレスのゴールで勝利を手にした。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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