今季無敗、レアル・マドリー好調の秘訣 確固たる自信とジダンがもたらす落ち着き

不敗記録を伸ばして首位をキープ

今季いまだ無敗のまま好調を維持するレアル・マドリー 【Real Madrid via Getty Images】

 現在、レアル・マドリーの周囲は笑顔で溢れている。その理由は10月29日(現地時間、以下同)のアラベス戦を4−1で制してリーガ・エスパニョーラの首位を保ち、2位以下に勝ち点2差をつけたことだけではない。この勝利により、昨季から続く公式戦の不敗記録を26試合にまで伸ばしたこともその一因となっている。最後の敗戦は4月6日に行われた2015−16シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝、ボルフスブルクとの第1戦(0−2)までさかのぼる。

 ルイス・エンリケ率いるバルセロナが数カ月前に築いた国内最長記録の39戦不敗にはまだ遠いが、今季のレアル・マドリーはオランダ人監督レオ・ベーンハッカーの指揮下で1988−89シーズンに樹立したクラブ記録の34戦不敗に着々と近づいている。

 30年近く前との大きな違いは、現在のチームが当時は成し得なかったCL制覇を昨季に実現していることだ。ラファエル・ベニテス前監督が解任され、一部の選手が監督を支持していないと考えられていた当時、後任に就いたジネディーヌ・ジダンがあれほど早く危機を乗り越えることができると考えた者は多くなかった。シーズン序盤につまずいたにもかかわらず、その後チームは彼の指揮下でCLを制するだけでなく、最終的にはリーガ・エスパニョーラでも首位バルセロナに勝ち点1差まで肉薄した。

 以降、現在に至るまで無敗を貫いているレアル・マドリーだが、内容的には常にハイレベルなプレーを維持しているわけでも、毎試合90分間パフォーマンスが安定しているわけでもない。むしろ前週末のアラベス戦でもそうだったように、守備面で重要なほころびや油断を度々見せているくらいだ。

ゴールをこじ開けてしまう底知れぬ得点力

数少ないチャンスを生かしてゴールを決めるモラタ 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】

 だが、このチームには長らく支えとしてきた2つの強みがある。選手たちに精神的な余裕をもたらしている確固たる自信、そして相手ゴールに迫るたびに高い確率でゴールをこじ開けてしまう、底知れぬ得点力である。

 リーガのトップ3の得失点差は第10節終了時点で見事なまでに拮抗(きっこう)している(レアル・マドリーとバルセロナは+18、アトレティコ・マドリーは+19)。だが執拗に攻め続けなくともゴールをこじ開けることができるレアル・マドリーは、明らかに他の2チームほどゴールを奪うための労力を必要としていない。

 さらにレアル・マドリーは、不動のトリデンテ(ギャレス・ベイル、カリム・ベンゼマ、クリスティアーノ・ロナウドの3トップ)に加え、マルコ・アセンシオ、アルバロ・モラタ、ルーカス・バスケスら、他チームがうらやむほど贅沢なバックアッパーをベンチに擁している。アラベス戦で3点目を決めたモラタのように、彼らは多くの場合、限られたプレー時間の中で訪れる数少ないチャンスを生かしてゴールを生み出している。

1/2ページ

著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント