長谷部誠「このままではダメ」 W杯最終予選 タイ戦後の選手コメント

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キャプテンの長谷部誠(17番)は試合後、勝利したものの「このままではダメ」と危機感をあらわにした 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

 サッカー日本代表は6日、バンコクのラジャマンガラ・スタジアムでタイ代表とのワールドカップ(W杯)アジア最終予選に臨み、2−0で勝利した。日本は前半18分に原口元気のゴールで先制すると、後半30分に浅野拓磨が追加点を決めてそのまま逃げ切りに成功。最終予選で初勝利を挙げた。

 試合後、キャプテンの長谷部誠は「勝ち点3を取れたのは一番よかった」と初白星を喜びつつも、「同点に追いつかれてもおかしくない場面があった」「このままではダメ」と危機感をあらわにした。すると追加点を挙げた浅野拓磨も「満足できる試合ではない」「もっともっと早くゴールを取れた」とコメント。本田圭佑も「攻撃陣は反省するところが多い」と話すなど、勝ち点を3を得た日本だったが多くの選手が課題を口にした。

 日本は次戦、10月6日にホームでイラク代表と対戦する。

長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)

「課題を挙げればキリがない」

 一番は結果だったので、勝ち点3を取れたのは一番よかったことだと思います。ただ、喜ぶのは今日、明日までにしたい。今日の試合でも多くの課題が出ましたし、早いうちに決められる場面がかなりありました。個人的にも、チーム全体としても簡単なミスというか、もちろんグラウンド状態とかいろいろありますが、そういう中でピンチになってしまう場面もありました。同点に追いつかれてもおかしくない場面もありましたし、修正しなければいけない点を挙げればキリがないです。勝てたことは良かったですけれど、それとともに危機感といいますか、このままではダメだというのはあります。

(過去2大会と比べてチームの成熟度は)他の2大会と比べるのは難しいですけれど、今出ているメンバーで言えば、予選に常時出ていてプレーしている選手は、今日は圭佑、(香川)真司、僕、(吉田)麻也が前回を経験しています。それくらいしかいないので、他の選手も予選には入っていましたが、試合に出ていなかったメンバーが結構います。そういう意味で言えば初めての選手が多い中で、成熟度という部分で比較するのは難しいです。ただ、今日に関して言えば、浅野、元気だったり、若い選手が点を取ったのはチームにとって非常に大きい。こういう予選では彼らのような力が間違いなく必要だし、そういう選手たちが点を取って、自信をつけたのは今日の良かったところだと思います。

(サイドを使うシーンが目立ったが)相手の出方を見ながらも、前回のように真ん中真ん中になると相手も的を絞りやすいので、なるべくサイドを使うことは考えました。その中で今日は1点目もサイドから取れましたし、サイドからの良い崩しから決定的なチャンスが何回もありました。もちろん決め切るという課題はありますが、そこは前回の試合から進歩した点かなと思います。

(原口に関して)元気はアグレッシブに、攻守に渡って貢献できる選手です。得点を取った、ああいうスペースにも入っていけますし、彼の気持ち、やる気、今日の試合で絶対に結果を残す、という気持ちは感じました。選手が自覚を持ってやるのは非常に大事だと思います。左の崩しの部分では、まだ荒削りな部分もありますが、あそこのポジションでのレギュラー争いもまた激しくなってきているのかなと思います。

(少しおとなしい選手がそろっている印象だが)それも難しいですけれどね。今までのチームに比べたら間違いなくおとなしいですが、人間的には素晴らしい選手がそろっています。内に秘める選手が多いので、それをどのようにしてピッチで引き出すか、というのはいろいろ考えてやっています。人それぞれの考え方はありますが、個人的には、元気や浅野が今日結果を出したように、若い選手がもっと自覚を持って、「自分がW杯に連れていくんだ」という強い気持ちを持ってほしい。たとえば僕が23〜24歳くらいで代表に入った時は、「自分が中心にやっていく」という気持ちでいた。それは周りの若い選手もそうでしたし、それくらいの気持ちを持ってやっていってほしいと思うし、内に秘めているのであれば、もっともっと出してほしいと思います。

原口元気(ヘルタ・ベルリン/ドイツ)

指揮官の期待にゴールで応えた原口は「重要なのはどれだけ継続できるか」と語った 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

「重要なのはどれだけ継続できるか」

 点を取ったのでそこは良かったと思いますが、課題もありました。もっとクオリティーを上げたいなと思いました。特に後半に関してはプレーの質も下がったし、僕自身、2点目、3点目を取れるチャンスがありました。もっと強い相手になった時は、ああいうところで決めていかないと苦しい試合もあると思います。良かった面もあれば、課題というか、もっと強くて、うまくならないといけないなという試合でした。

(スタメンを知ったのは)2日前くらいです。(左サイドでの起用だったが)想定外ではないです。僕は左でやりたいと思っていたし、どっちでもできる準備はしていました。

(アピールは)結果を残すだけです。自分のアピールということよりも、チームが勝つことだけを考えてやっていました。久しぶりに左で使ってもらって、このチャンスを逃したらもうないだろうなと思っていましたし、覚悟を持ってやりました。監督には何度も、あそこで出たらゴール(を求めている)と言われていたので、一番分かりやすい結果が出たのは良かったかなと思います。

(心掛けていたことは)僕は僕の良さを出そうと思ったけれど、自分の良さだけを考えていても監督の求めているものとは違う。何度も何度も裏に走るということも、きついですけれどなるべく心掛けてやりました。バランス良くできたかなと思います。

(若い世代が本田、香川世代を上回るためには)彼らを超えていくには、こういうことを続けるしかないと思います。1試合良かったからといって、追いついたというわけではないと思います。何度も何度もこういう活躍を繰り返して、やっと彼らに追いつけると思うので、僕らはそういうことにチャレンジしていかないといけないと思います。

(結果を残したことに対する手応えは)自信にはなりますが、次は1カ月後で、相手も違うし、コンディションもそれぞれ違った状態で戻ってきます。重要なのはどれだけ継続できるかだと思います。

本田圭佑(ミラン/イタリア)

試合を振り返り「守備陣を評価したい」とコメントした本田 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

「守備陣を評価したい」

(勝ってほっとしたと思うが)そうですね。しっかり勝つということが大事だと思います。特に負けた試合の後だったので。(内容は改善されたか?)攻撃陣は反省するところが多いですが、守備陣は1本以外は本当に危なげなく完璧だったと思っています。実際に結果として失点はしていないので、守備陣をしっかり評価したいなと思います。

(決定機を多く外したが)そうですね。ただ、攻撃陣が外してもしっかり勝てたので良かったです。これが負けていたら僕のせいになっていたので。

(UAE戦で中央の香川にスペースがなかったことを踏まえ、サイドバックとの連係も考えながらプレーした?)改善できたと言うには早いですが、意識できたという意味ではまず前進した証拠だと思います。これから相手のレベルも上がりますし、より厳しい試合が続くので、そういった相手にしっかり守備で危なげなく(試合を進めて)、今日に近いくらいのチャンスを作るというのが大事になってくると思います。そのイメージを監督を含めて持っている。というのは、スペースができればできるほどチャンスが作れる、というサッカーをしていると思っているので、それはそれで来月試したいなと思っています。

(この試合に勝ってより自信が深まった?)もちろん。僕らは前回の試合を落としているので、この試合には勝たなければいけなかったし、僕はうれしいです。この試合の勝利は非常に大きいと思っています。

西川周作(浦和レッズ)

「基本的なことを大事にした結果」

(後半25分にティーラシルとの1対1を止めたところは素晴らしかった)基本的なことを大事にした結果だと思います。先に動かないということと、体制を崩していたら、そのままゴールに入れられていたと思いますし、あの状況でもしっかりとステイして、基本的なことを全うできたかなと。やっぱりUAE戦で基本が大事だなとあらためて感じたことでしたし、ピッチコンディションが本当に悪い中だったので、ああいうピンチが来ても慌てずにやろうと思っていたので、とにかくチームがこうやって結果を出せたこと、勝ち点3を取れたことが本当に良かったと思います。

(イエローカードをもらったシーンについて)あれは僕のボールだったんですけど、思っていたよりもボールが転がらなかったので、ちょっと待った感じになって、ちょっと引っ掛けるような感じになってしまいました。もうちょっとボールに寄っていければ外にクリアできたと思いますし、そこは反省点として次に生かしていきたいと思います。

(1−0で進んだ時に嫌な予感はしなかった?)チャンスの数を見たら、もっと得点が入ってよかったと思いますけれど、GKとしては点が入らないからこそ、後ろが我慢強くやれれば、必ず前が点を取ってくれると信じていたので。今日は1−0ではなく、2−0にできたことは非常にポジティブですし、欲を言えばもっとチャンスがあったので、そこで仕留める力をチームとしてつけていきたいと思います。

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