ドゥラメンテに悪夢、故障で凱旋門賞白紙 遅咲きマリアライト11年ぶり宝塚牝馬V

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牝馬の宝塚Vは史上3頭目

蛯名騎乗のマリアライトが宝塚記念V! 牝馬としては11年ぶり史上3頭目の快挙だ 【スポーツナビ】

 JRAの上半期を締めくくる春のグランプリ・第57回GI宝塚記念が26日、阪神競馬場2200メートル芝で争われ、蛯名正義騎乗の8番人気マリアライト(牝5=美浦・久保田厩舎、父ディープインパクト)が優勝。中団追走から馬場の外を力強く伸びると、さらに外から急襲したドゥラメンテ(牡4=美浦・堀厩舎)、最内で粘るキタサンブラック(牡4=栗東・清水久厩舎)をまとめて撃破し、牝馬としては2005年スイープトウショウ以来11年ぶり史上3頭目の宝塚Vを決めた。やや重馬場の勝ちタイムは2分12秒8。

 今回の勝利でマリアライトはJRA通算17戦6勝。重賞は昨年のGIエリザベス女王杯に続く2勝目。騎乗した蛯名、同馬を管理する久保田貴士調教師ともに宝塚記念初勝利となった。

 クビ差の2着にはミルコ・デムーロ騎乗の1番人気ドゥラメンテ、さらにハナ差の3着には武豊騎乗の3番人気キタサンブラックが入線。なお、ドゥラメンテはゴール後に左前脚に異常が出てミルコが下馬。左前肢ハ行と診断され経過観察中だが、サンデーレーシングの吉田俊介代表は秋のフランス遠征を白紙にすると話した。

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ミルコ「ゴールを過ぎた後に滑った」

 マリアライトが11年ぶりの牝馬宝塚Vを決めたその直後、2着に敗れた二冠馬にさらに追い討ちをかけるような、まさかの悪夢が待っていた。レース後、悔しさをかみ締めるような表情で、ミルコがこう語った。

「ずっと左手前で走っていたから最後は疲れてしまったみたい。ゴールを過ぎた後につまずくような形になって滑ってしまいました」

 パトロールビデオを見ると、ミルコが振り返ったように最後の直線は常に左手前。そしてゴール後、力を緩めたところでドゥラメンテはバランスを崩すようにノメっていた。2コーナー手前で下馬したミルコがガックリと肩を落とし、ドゥラメンテが馬運車に乗せられるというショッキングなシーン。最悪の状況も頭をよぎったが、どうやらそこまでにはならなかったようで、それは不幸中の幸いと言うべきか。

レース後に左前脚に異常が出て馬運車に乗るドゥラメンテ 【スポーツナビ】

「現状、外見からは分かることがなくて僕自身もレントゲンなどの診断結果を待っているところなんですが、左前脚をかなり痛がっていて、地面に脚をつけるのにも痛がっています」

 吉田俊介サンデーレーシング代表は宝塚記念直後の状況をこのように説明した。阪神競馬場での第一診断の結果は「左前肢ハ行」。ハ行というのはJRA公式サイトの競馬用語辞典によれば「歩様に異常をきたしている状態」を言い、原因は骨、腱、関節、筋肉、神経などの異常が考えられるという。骨折は認められなかったとのことだが、日にちが経つにつれて患部が腫れてきたり、さらに詳しく検査した結果骨折が見つかるなど、後になって重症の診断が下される場合もある。それだけに、1回目の診断が「ハ行」だったからと言って安心ばかりもしていられないのだ。

「フランス遠征はやめることになりますね」と吉田代表。痛みの原因、ハ行の原因が何であれ、ドゥラメンテへのダメージが大きかったことに変わりはない。たとえ軽症だったとしても、ここから10月2日の凱旋門賞へ向けて立て直すには時間が足りないだろう。残念ながら、ドゥラメンテの凱旋門賞挑戦はまたも夢と消えてしまった。

 現実としてこうなってしまった以上は、競馬ファンとしても残念だろうが、今はドゥラメンテの症状が軽いもので済むことを祈るしかない。

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