ドゥラメンテに悪夢、故障で凱旋門賞白紙 遅咲きマリアライト11年ぶり宝塚牝馬V

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このメンバーを相手に勝つことが凄い

内のキタサンブラック、外のドゥラメンテを従えてマリアライトがド根性の勝利! 【スポーツナビ】

 一方、勝ったマリアライトだ。11年ぶりの牝馬として宝塚記念を勝ったという記録以上に、この相手に勝ち切ったことにこそ大きな価値がある。蛯名も「実際、これだけのレベルのメンバーを負かしたんだから凄いことです」と胸を張った。

 史上最年長47歳3カ月8日で春のグランプリを勝利したベテランは、マリアライトの勝因をこう分析している。

「ペースもある程度流れてくれましたし、自分の馬は外枠で、今日のような馬場も得意。いい条件がそろってましたね」

 そして、「急には(ペースが)速くなれるような馬場じゃないなから」と、3コーナー過ぎから徐々にペースアップ。逃げる武豊キタサンブラックとの差を詰め、逆にドゥラメンテら脚をタメている後方待機組との差をジワジワと離しにかかる蛯名の手綱と馬場の読みはさすがのひと言。「自分の馬もすごく伸びてるわけではないけど、周りの馬も伸びるような馬場じゃなかったですからね」。最後は押し切りを狙ったキタサンブラックを外からねじ伏せ、そのさらに外から襲い掛かるドゥラメンテの一刺しも跳ね返し、先頭でゴール板に飛び込んだ。

「女の子なのに本当に根性ありますよ。内のキタサンブラックと外のドゥラメンテと併せ馬のような形になって、そこから勝つんですから勝負根性が凄いですよね」

秋は再び牡馬相手か、それとも女王杯連覇か

秋は牡馬相手の王道路線か、エリザベス女王杯連覇か 【スポーツナビ】

 牝馬の5歳。昨年秋のエリザベス女王杯を勝ってからというもの、暮れのG1有馬記念4着、明けて春のGII日経賞3着、GII目黒記念2着、そしてこの宝塚記念でG12勝目と、目下の充実ぶりは目を見張るものがある。典型的な遅咲きタイプと言えるが、この躍進の秘密を蛯名は次のように明かしている。

「もともと素質のある馬だったんですが、若いころは飼い葉をあまり食べてくれなかったりで思うように調整できなかった。でも、厩舎スタッフのみなさんが大事に使ってきた結果、やっと花が開いてきましたね。今は安定感が出てきましたし、乗りやすいので不安な点が少ない。いつも自分の力を出し切ってくれます」

 ウオッカやダイワスカーレット、ブエナビスタ、ジェンティルドンナといった3歳クラシックシーンから活躍してきたこれまでの“女傑”とはまた違うタイプの強い牝馬。この秋は天皇賞・秋、JC、有馬記念と牡馬を相手に回して戦うのか、それともエリザベス女王杯連覇を目指すのか。その選択も楽しみに待ちたい。

(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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