【仙台女子プロレス】新潟でのビッグマッチに臨む里村明衣子 紫雷イオとの戦いで「最高の自分を出す」
7.2新潟大会で紫雷イオとベルトを懸けて戦う里村明衣子にインタビュー 【横田修平】
メインイベントではセンダイガールズ ワールドチャンピオンシップとして王者・里村明衣子が2度目の防衛戦に臨む。挑戦者はスターダムの現ワールド・オブ・スターダム王者であり、「3冠王」である紫雷イオ。
2人の戦いは昨年12月23日に後楽園ホールでスターダムの赤いベルトを懸けて行われたが、激闘の末に、イオが勝利し里村から団体の至宝を奪った。その後はタッグマッチで対角線に立ったが、6月5日のスターダム・名古屋国際会議場イベントホール大会の試合後、里村がイオに「私が大事に守っているセンダイガールズのベルト、オマエ挑戦してこい」と逆指名。これをイオが受ける形で、タイトルマッチが決まった。
今回は地元でのビッグマッチを控える里村にインタビュー。イオを逆指名した理由や、新潟でタイトルマッチを行う意義などを聞いた。
昨年末の王座戦が奮起のきっかけ
里村自身、12月の試合で敗れたことが奮起し、逆指名したきっかけとなった 【前島康人】
シングル戦自体は3月ぐらいに決まっていました。
――その戦いに里村選手が保持するベルトを懸けることになりましたが、今回イオ選手を逆指名した理由というのは?
やはり昨年末のタイトルマッチで負けたことが大きいです。
――その試合はスターダムのホームで行われたタイトルマッチでしたが、そこでの敗戦が大きかったと?
そうですね。そこが自分にとってはすごく奮起した瞬間だったんです。やはりこの年齢でタイトルが懸かると、勝敗だけでなく、試合内容にもすごく厳しい評価が下される立場になってしまいます。若い選手なら、それこそ内容も結果も「まだまだこれからだから頑張れ」となりますが、私みたいなベテランになると、まずは内容ですよね。タイトルマッチが終わった後に、「あー、もう里村は終わったな。もう里村の時代じゃない」と思われるか、「すげえな里村。ここまで戦えるか!」という評価のどちらかだと思います。
私は紫雷イオとの試合で、自分はまだまだいけるなと感じました。だから、そこから試合間隔を空けたくなかったんです。それは自分自身の挑戦としてもです。
紫雷イオは「今が最高の時」
今のイオは「最高の時」と話す 【横田修平】
今が本当に最高の時なんじゃないですか? もちろん、ベルトを巻いている選手というのは、今が最高だと自分自身で持っていかないといけないのですが、それこそイオは、赤いベルトの10回防衛記録(13年4月〜14年8月)を作った時よりも、今の方が最高だと思います。
本当にいろいろな経験をしてきたと思いますし、いろいろな選手とタイトルマッチを重ね、王者の自覚も出てきていると思います。
――それこそ昨年はスターダムにとってターニングポイントだったと思います。そこを乗り越えて王者になったイオ選手は、充実しているということですね。
そうですね。イオ自身もそういう自覚があると思うんです。ただ、他団体のベルトに挑戦したことはないと思うので、そういうところも兼ねて、私はあえてそこをつつかせてもらいました。
私は他団体のベルトに何度も挑戦し、やはりいろいろな団体の選手を知っています。そこではイオだけでなく、例えば浜田文子(プロレスリングWAVE)とか、アジャ・コング(OZアカデミー)といった選手と勝負してここまで来たので、私には団体の垣根というのがほとんどないんです。
だから今度は紫雷イオが、アウェーの会場で他団体のタイトルマッチのプレッシャーを味わうときが来たなと思っています。
――ある意味、ホームを離れたときの紫雷イオ選手の力を図る意味での逆指名だったんですね。
そうですね。
――ただ今回は仙女のホームに引き込んでの対戦。里村選手として有利な環境に持ち込んだことで、逆に「絶対に負けられない」というプレッシャーにはなりませんか?
それが一番のプレッシャーですね。やはり地元ですし。私は新潟で育って、新潟の中学生の時に、いろいろなプロレスを見に行っていたのですが、やはり都会でしかタイトルマッチがなくて、新潟ではほとんど見られなかったこともあって、「何でおいしいところを全部東京などの大都市に持っていかれるんだろう?」というのはありました。そういう思いもあって、やはり今は20年前と時代も違いますし、私自身が地方発信の団体としてやっているので、地方でのビッグマッチを行い、最高峰のベルトを懸けての戦いを、新潟や仙台に持っていきたいという気持ちがあります。
シングルマッチにこだわる理由
若い選手との戦いには、自分自身を駆り立てる意味もある 【スポーツナビ】
私はやっぱりシングルマッチでの王道を走って行きたいというのがあります。そこは自分としても賭けではありますよね。
――それこそ“女子プロレス界の横綱”と呼ばれていますが、そう呼ばれる所以みたいな部分を示していきたいのでしょうか?
シングルにこだわっているのは、どんどんいい選手を自分から指名して対戦し、お互いを引き上げていきたいからです。最近では朱里とか紫雷イオとか、若い選手との大一番がありますが、大一番と言われるためには、やはりお互いが切磋琢磨(せっさたくま)し、「頂点の試合をするぞ」という気持ちがなければ認められないんだと思います。
紫雷イオは、デビューの時から見ていて、本当に10年前はただのド新人でした。朱里も6年前(10年3月)、私がデビュー戦の相手を務めています。それこそ先輩後輩だけの関係だったら、それまでなんです。ですが、それぞれがすごくいい選手に成長して、そこを自分も受け入れて「こいつ来るな」と。プロレスラーとしての輝きにアンテナを張って、そこに食いついていくことをしないと、自分自身も止まったままになってしまいます。ですから、いつまでも敵が1人、2人だけじゃないぞと思っています。チャンスはいろいろ転がっていますから。
――そうやって輝きを持つ若い選手と戦っていくことで、里村選手自身も成長していることを証明したいと?
そうですね。評価をするのはすべてお客さんですが、自分自身、キャリアだとか、ポジションというのは、一切当てにしていません。そういったものを捨てて、自分を駆り立てながら、キャリアに負けないようにしていくことが、自分自身への刺激になります。
タイトルマッチで観客を呼べるまで価値を高める
タイトルマッチをすることで観客動員が増えるぐらいにベルトの価値を上げたいと話す 【横田修平】
どんどん上がっていますね。
――ベルトを持っていることで、里村選手自身、狙われているという気持ちもありますか?
そうですね。
――それこそ橋本千紘選手も、早くも挑戦を表明しています。やはり、そういう若い選手にもどんどん狙ってきて欲しい?
どんどん狙ってきて欲しいです。それこそ橋本なんて、デビューして7カ月ですけど、1年なんていらないんじゃないですか? のし上がるまでには。早く、そういう存在が出てきて欲しいです。
――里村選手としては仙台女子のベルトの価値をどこまで上げたいですか?
やっぱり、狙うところは観客動員ですね。タイトルマッチをした時に観客動員が増える。この試合を絶対に生観戦したいというお客さんが増えれば増えるほど、本物になってくると思います。私は「タイトルマッチがあるからお客さんが来てくれる」ようなベルトにしたいです。
――それでは最後に、7月2日のタイトルマッチに向けての意気込みお願いします。
今回は新潟市体育館という、後楽園ホールよりも2倍以上のお客さんが入る場所です。そういうところで、地方のビッグマッチを行うので、それこそプロレスファンだけを対象とした大会ではないです。いろいろな方が来てくれ、プロレスを知らない人も、そのタイトルマッチを見て、「あ、女子プロレス、すごいな」と思ってもらえるような試合をしたいと思います。
私は自信を持ってタイトルを懸けたいですし、紫雷イオとだったら、最高の自分を出せる自信もあります。
(取材・文:尾柴広紀/スポーツナビ)
7月2日(土)新潟市体育館 開場17:15 開始18:00
【既報対戦カード】
<センダイガールズ ワールドチャンピオンシップ>
[王者]里村明衣子
[挑戦者]紫雷イオ
※王者・里村、2度目の防衛戦
※特別レフェリー・和田京平
<セミファイナル タッグマッチ>
DASH・チサコ、橋本千紘
ライディーン鋼、アジャ・コング
<第4試合 タッグマッチ>
カサンドラ宮城、木村響子
長浜浩江、朱里
<第3試合 6人タッグマッチ>
志田光、ナイラ・ローズ、KAORU
松本浩代、井上貴子、神取忍
<第2試合 シングルマッチ 危険ですから目を合わせないでください>
アレックス・リー
アイガー
<第1試合 シングルマッチ>
岩田美香
浜田文子
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