【仙台女子プロレス】里村がアジャから初防衛に成功 仙台女子は奈七永&世志琥と交戦へ

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アジャから王座防衛をした里村 【横田修平】

 センダイガールズプロレスリングの10周年記念後楽園ホール大会が8日に開催された。

 メインイベントではセンダイガールズワールドチャンピオンシップとして王者・里村明衣子にアジャ・コングが挑戦。女子プロレス界の“横綱”と“象徴”による頂上対決は、里村が2度目のスコーピオ・ライジング(ひざをかけ上がってからのかかと落とし)をアジャの頭部に完璧に落とし、3カウントを奪って初防衛に成功した。

スコーピオ・ライジングで決着

場外でのラフ攻撃はアジャが一枚上手だった 【横田修平】

 レスラー生活30年のアジャと20年の里村。デビュー当時から「ずっと追ってきた選手」とリスペクトする存在であるアジャが挑戦者ということで、少なからず違和感を感じていたという里村。それでも女子プロレス界の最前線を走り続けている2人にとって、リングに上がれば上下関係はなく、全力でぶつかり合う相手となった。

 試合序盤、ゴングが鳴ってもコーナーから動かず、視線だけが交わる。観客からの声援にこたえる形で徐々に距離を近づけると、いきなり里村の蹴り、アジャの裏券が空を切る。これまで12度のシングルを戦ってきているだけに、相手の出方はともに承知のようだった。

腰の手術以来となるスコーピオ・ライジングで決着 【横田修平】

 それでも里村が執ようなヘッドロック、スリーパーで捕らえると、アジャは蹴りで形成を逆転してから強烈なバックドロップを3連発。さらに、里村がボディープレスを狙ったところを膝剣山で捕らえると、強烈な勢いで吹っ飛ばされ、里村は腹部を負傷したようなしぐさを見せる。そこから場外での乱闘になると、アジャがいす攻撃、鉄柱攻撃、さらに会場の通路で長い助走を取って全速力でのラリアットと、ラフファイトでの強さを見せる。そしてついには場外フェンスを敷いたところへの垂直落下式ブレーンバスターと、強烈なダメージを与える。

 フラフラになりながらもリングに戻った里村は、エルボードロップで飛んできたアジャをうまくよけて、そのまま腕を取っての腕ひしぎ逆十字固め。さらに側転からのニードロップとつなぐ。ここからはお互いの得意技が飛び出し、アジャの裏拳、里村のオーバーヘッドキックと、ともに1度目はよけるが、2度目にヒット。さらに里村がデスバレーボムを決めると、アジャが1カウントで返し、逆にアジャが垂直落下式ブレーンバスター。これも里村が1カウントで返す。

 するとここで「腰の手術(09年に再発した椎間板ヘルニアの4度目の手術をしている)をして以来、出していなかった」というスコーピオ・ライジングを繰り出す。この後、アジャの裏拳で追い込まれたが何とかカウント2.9で返すと、コーナーからの雪崩式ブレーンバスターを狙うアジャを突き落とし、かかと落としをいれてから、もう一度スコーピオ・ライジングを決め、これで決着がついた。

「50年でも100年でも追い続ける」と里村へ伝えるアジャ 【横田修平】

 試合後、なかなか動けなかったアジャだが、リングを去る前に「今回はベルトを取れなかったかもしれない。でも50年でも100年でもずっと追い続けてやる。ベルトがどうだろうが関係ないが、俺が東北に“金の雨”を降らせるぞ!」と伝える。

 表彰を終えた里村も「何が私をそんなに強くしているか分かりませんが、対戦相手のアジャ、私が(デビューから)間もなく、ずっと追ってきた選手。その選手が自分の目の前に居続けてくれるのが力になっている。また挑戦してきて欲しいです」とこれからも戦っていく姿勢を見せている。

チサコはハードコアスタイル継承へ

KAORUとの連携を見せ、志田を追い詰めるチサコ 【横田修平】

 セミファイナルではDASH・チサコがKAORUと組んで、朱里&志田光と対戦。「ハードコア」の戦いに目覚めたチサコの要望で、レフリーが危険とみなした凶器以外の道具、反則が認められ、場外カウント、ロープブレイクなしという過酷なルールでの一戦となった。

 凶器OKということでチサコは机の板、KAORUはラダーを準備。一方の志田は2本の竹刀、そして朱里はコシティを持ち込むと、「コシティは危険なのでは?」とチサコ組がアピールするが、これは受け入れられず試合開始となった。

 先発はチサコと志田。チサコがラフなファイトで志田を攻めるが、志田はチサコを抱え上げバックブリーカー。朱里がリングインするとコシティを振り回し、逃げるKAORUを攻める。KAORUはなんとか強打を逃れ、逆に机での攻撃を見せると、チサコとも連携を見せる。さらに机の板を傾けて、コーナーから落とすという暴挙に出るが、これはなんとか志田がよける。すると、マットが破れ、さすがにこれは危険だろ!とアピールする。

 その後は場外へと場所を変えて、再び朱里がコシティでの攻撃を狙うが、KAORUは逃げ回る。これを逃げ切ると逆に志田を場外にセットした机の上に寝かせて、チサコがそこへコーナートップからフットスタンプを落とす。

KAORUのハードコアスタイルを継承すると話すチサコ 【横田修平】

 リング終盤になると両チームともラダーを利用しての攻撃に出ようとするが、志田がラダーに上ったところをチサコが揺らして落とし、さらにKAORUがはしごを首にかけて振り回して、朱里と志田を並べて寝かせた上にラダーと机を乗せてセットすると、そこに再びチサコのフットスタンプが落ちてくる。

 最後は志田とチサコのラダー上での対決となるが、チサコが志田を落とすと、そこへKAORUのムーンサルト・プレス、間髪いれずにチサコのラダーからのホルモン・スプラッシュが成功し、志田から3カウントを奪った。

 この試合結果に満足のチサコは、これからもKAORUのハードコアスタイルを継承していき、暴れまわることを誓った。

シードリングが2連勝で里村へ対戦要求

世志琥は「眼中にない」カサンドラ宮城を一蹴 【横田修平】

“仙女三銃士”のカサンドラ宮城、橋本千紘は、それぞれシードリングの世志琥と高橋奈七永と一騎打ち。世志琥の復帰に「納得していない」と話す団体の長・里村の代わりに、シードリングの両者と争うことになった。

 第3試合では宮城と世志琥が激突。カサンドラ宮城としては、まったく触れたことがない世志琥に対し、カサンドラ・ワールドを炸裂(さくれつ)。序盤こそ力比べやミサイルキックと正々堂々とした戦いをしようとするが、すぐに髪のひっぱてなぎ倒したり、顔面を踏みつけたりとラフ攻撃に。これに怒った世志琥も負けじと顔面ウォッシュ、顔を踏みつけてからのお株を奪うヘッドバンキング、さらに場外乱闘へと移行する。

 場外では宮城が世志琥を引きずり回して、壁に頭をぶつけさせて満面の笑み。最初に西側、次に東側と連続でつれまわすが、途中で攻守交代し、世志琥が宮城の頭をぶつけにかかる。それでも宮城は壁だけでなく、リングの鉄柱も使って攻撃する。

 リングに戻ってからはミサイルキックの連打から、コーナーに上がってミサイルキックを狙うがここは世志琥が追いつき、逆に膝蹴りで落としてから、フライング・ラリアット。世志琥はさらにネックハンギングボムを狙うが、ここは宮城がよける。宮城がバックドロップ、スパインバスターと決め、さらにコーナーからの技を狙おうとするが、世志琥が追いつき、リングに落とすと、そこからダイビング・セントーンを決め、3カウントを奪った。

奈七永も橋本を破り、シードリングが2連勝となった 【横田修平】

 続く第4試合では、奈七永との対戦を熱望していた橋本の一騎打ちが実現。序盤はレスリング・テクニックで上回る橋本がうまくバックを取るなど、新人らしからぬ実力を見せるが、徐々に奈七永が「プロレス」で上回る。ヘッドロック、アームロック、腕への一点集中攻めなどを出し、さらにはエルボーや張り手など強烈な打撃で橋本の顔を腫らす。

 圧倒的な力の差を見せつけられながらも、カウンターのヒップアタック、ダイビングボディーアタックからの一本背負い、さらに腕ひしぎ逆十字固めに捕らえる。ただ奈七永がブレークして離れると、やはり張り手、ショルダータックル、ラリアット、コーナー最上段からのブレーンバスターと畳み掛ける。橋本もなんとか、スピアーのようなタックル、バックホイップと攻めるが、奈七永がカウント2で返す。最後は、奈七永がスライディング・ケンカキックから、ラリアットを決めると、橋本は返すことができず、3カウントがたたかれた。

 これでシードリングの2人が連勝で勝ち名乗りを上げると、「(カサンドラ宮城は)眼中にない」(世志琥)、「私に勝てると言っている時点で話しにならない」(奈七永)と、自分たちに若手を当てた仙台女子に怒りを示した。

メイン後、「正々堂々とリングに上がった」シードリングの2人が、仙台女子との交戦を要求 【横田修平】

 そしてメインイベントの里村vs.アジャの試合後、里村が「あたしと次にやりたいやつはいるか?」という問いかけに、迷わずリングに上り、奈七永が「正々堂々とリングに上がって来てくださいと言われたので、正々堂々と上がらせて頂きました」と挑発。さらに世志琥がマイクを握って何かを言おうとすると、これにはチサコ、宮城、橋本が間に入る。
 里村が「おまえら、また私の目の前に立つのか?」という問いかけをすると、世志琥が反応しようとするが、これには橋本が入り「世志琥さん、里村さんの前に自分じゃないですか?」と対戦要求をすると、続けて宮城もマイクを持ち「たった一度勝ったぐらいで調子に乗ってんじゃねえぞ」と、宮城も再戦を要求する。

 これに世志琥は「うるせえんだよ。眼中にねえんだよ」と2人を相手にしないと、再び奈七永がマイクを持ち、「次のシードリング、正々堂々と上がってきてもらえますか? こっちは2人かもしれないけど、おまえらが束になってきても負けねから。なめんじゃねえぞ!」と交戦を主張してからリングを去ると、里村も「おまえら2人、まとめて真っ向勝負だ!」と戦いを受け入れる姿勢を見せた。

 最後に里村は、「次は11月9日、10周年大会をここでやります。私たちが女子プロレス界、かっさらってやりますよ。次、東京に戻ってくる時は、もっと大きくなった仙台女子を見せますから」とさらなる団体の飛躍を約束して、東京に来ることを誓った。
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