高倉「日本人にしかできないサッカーを」 なでしこジャパン監督就任会見
就任会見に臨んだなでしこジャパンの高倉麻子新監督 【スポーツナビ】
高倉監督は、「今まで積み上げてきたものにさらに磨きをかけて、もっと高いところに選手たちを連れていく」とコメント。「日本人にしかできないサッカーを追求したい」と抱負を語り、「どの大会でも優勝を目指す」と目標を掲げた。
同席した日本サッカー協会の田嶋幸三会長は「なでしこジャパンを一番勝たせる可能性のある監督が高倉監督だった。女性だから選ばれたわけではない。素晴らしい力があると思う」と期待を寄せた。
高倉監督率いるなでしこジャパンの初陣は6月3日に行われる米国女子代表との親善試合となる。
世界の女子サッカーをリードしたい
今井委員長は高倉監督について「なでしこのサッカーをさらに発展させることができる監督として、私たちは非常に期待をしています」と語った 【スポーツナビ】
田嶋幸三(日本サッカー協会会長)
今井純子(日本サッカー協会女子委員長)
高倉麻子(日本女子代表監督)
田嶋 みなさんこんにちは。多くのメディアの方、そして多くの方々にお集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日新たななでしこジャパンの監督をみなさんの前で発表できることになりました。みなさんの予想通りというか、この人しかいないという高倉さんが、なでしこジャパンの監督を引き受けてくれたことを会長としてもうれしく思います。残念ながらリオデジャネイロ五輪には出られないんですけれども、全面的なサポートをして、2019年の女子ワールドカップ(W杯)そして、20年の東京五輪に向けた強化をスタートさせていきたいと思います。もちろん、(高倉新監督は)U−20の(女子)代表監督も務めるわけですから、ぜひ両方で良い成績を残せるように頑張っていただき、私たちも全力でサポートしていきたいと思います。ありがとうございました。
今井 こんにちは。なでしこジャパンはリオ五輪アジア最終予選に敗れ、リオ五輪に出場することはできませんでした。しかし、これで歩みを止めることなく、これをステップにさらに大きく発展できるように、再スタートを切って進んでいきたいと思っております。その中で、女子委員会を開催しまして、今までのなでしこジャパンの総括、今後の方向性について話し合いました。それに基づいて次期監督の条件について、さらに次期監督の候補について話し合い、結論を出しました。それを会長にご報告し、承認をいただき、今回(高倉)監督に正式なオファーを出させていただきました。
高倉監督には自身も元日本代表選手としてW杯、五輪に出場した経験があります。また、指導者としてAFC U−16選手権優勝、その後のFIFA U−17女子W杯優勝、そしてさらにAFC U−19選手権優勝という素晴らしい成果を残しています。さらに、育成年代からの指導を続けておりますので、日本の若手選手だけでなく、世界トップレベルの若手選手がどのようなスタンダードかをよく知っています。
さらに、FIFA(国際サッカー連盟)、AFC(アジアサッカー連盟)のテクニカル・スタディー・グループ(TSG)として多くのトップレベルの大会を視察し、分析し、ディスカッションを重ねていて、17年のカナダW杯の際もTSGを務めており、次に戦う場についてのイメージがしっかりできています。そして、日本女子サッカーの発展に向けての情熱が非常に強い。なでしこのサッカーをさらに発展させることができる監督として、私たちは非常に期待をしています。この選択をした日本サッカー女子委員会としても、このチャレンジが成功するように、一丸となって全力でサポートしていきたいと思っております。
高倉 みなさんこんにちは。この度、なでしこジャパンの新しい監督に就任させていただくことになりました高倉麻子と申します。よろしくお願いいたします。まず最初に、なでしこジャパンが先日行われたリオ五輪の(アジア最終)予選で敗退したことは非常に悔しく、残念ではありますけれども、今まで佐々木(則夫)監督や、選手が積み上げてきた数々の栄光が消えるわけではないですし、素晴らしい栄光だったと考えています。
その上で、私が新しく監督としてやることは、今まで積み上げてきたものにさらに磨きをかけて、もっと高いところに選手を連れていくことかなと考えています。日本人にしかできないサッカーを追求していきたいと思っています。さらに、W杯や五輪で良い成績を収めるということのみならず、世界の女子サッカーをリードしていけるようなサッカーをやっていきたいと考えております。
日本人の特徴といいますか、なでしこジャパンが11年にドイツW杯で優勝したときのサッカーを考えてみますと、やはり日本人の特徴が最大限に生かされていたのではないかと思います。日本人は非常に器用で勤勉で頭が良いと思います。戦術理解力も高いですし、何よりも人のために組織として大きな力を発揮することができる。それがなでしこジャパンの大きな力になったと考えています。そのことを大切にしながら、日本人にしかできない、日本のサッカーというものを選手とともに追求していきたいと思います。
11年のW杯で優勝したときのサッカー、それ以降、ロンドン五輪(12年)で銀メダル、15年カナダで行われたW杯で銀メダルを取りましたけれども、日本のサッカーは世界中の女子(サッカー)に関わる人々が非常にリスペクトしていますし、賞賛されているものです。確かに、五輪の出場権を逃したことは非常に残念ですが、そのことで下を向く必要はないと思いますし、私もずっと育成に関わっていますけれども、素晴らしい若手はたくさんいます。今まで素晴らしい成績を収めた選手たちと若手を融合させて、新しいなでしこジャパンを作っていきたいと思っております。
そして、大切なことはみんながひとつになることなのではないかと考えています。選手、スタッフ、協会、そして(なでしこ)リーグの各チームの方々、そして全国で力を注いでいる育成の方々、ファンのみなさま、今日も集まってくださっているマスコミの方々の力を借りて、全員でひとつになって、今少し元気がなくなっていると見られるなでしこジャパンをみんなでぜひ押し上げていってほしいと考えています。みなさんよろしくお願いいたします。