高倉「日本人にしかできないサッカーを」 なでしこジャパン監督就任会見
チームのコンセプトについて高倉監督(中央)は「選手1人1人が思考を止めない、状況判断に優れたサッカーをしていきたい」と語った 【スポーツナビ】
高倉 私が女子サッカーにかかわったのは中学2年生の時で、福島から東京のチームに通って、試合をやっていたわけですけれど、その原動力はサッカーが好きだということに尽きると思います。やっていく中でサッカーの奥深さや面白さのとりこになって、負けたくないという気持ちを持ちながら、うまくなりたいという気持ちだけでやってきたと思います。
今も変わらず、そのサッカーを始めたころと変わらない気持ちを、今でも持ち続けていると自分では思っています。それがサッカーの大きな力であり、また今なでしこの監督をやらせていただく中で、チームを預かって試合ができるということは、試合を見てくれるいろいろな方に元気や勇気を与えられることができる立場にいられることは非常にうれしいことだと思っています。
――先ほど田嶋会長が未来に向けて全面的にサポートしていきたいと言っていたが、その1つとして代表の活動機会の増加があると思う。昨年の1月から現在までの約16カ月で、日本はW杯や東アジアカップなどをのぞく公式戦22試合のうち、純粋な親善試合は3試合だったと思う。一方、6月に対戦する米国は親善試合だけで18試合、1カ月1試合以上のペースで戦っていますが、カナダ女子W杯後には選手から活動機会を増やしてほしいという話もあった。今後そうしたビジョンは具体的にあるのか?
今井 やはり活動機会は少なかったと考えています。インターナショナルマッチデーというFIFAが確保している代表チームの活動の日程がありますが、そこをもっと有効に活用していく必要があると考えています。今年から4年間、毎年ある大会が違うので違った性質の年になりますが、中期的な計画を立てて活用していきたいと思います。その際にはもちろんリーグとの連携が非常に大事になってきますので、リーグともしっかり話し合って、リーグに対して自分たちができることが何かということもよく話し合いながら代表活動の日程を確保していきたい。男子がやっているようにショートキャンプといいますか、リーグの日程に響かない代表の活動もやっていきたいと思います。
――チームのコンセプトについて、日本人らしいサッカーと先ほど伺ったが、もう少し踏み込んで、たとえば前監督だったら「攻守にアグレッシブなサッカー」と言っていたが、そのあたりを教えてほしい。
高倉 一言で○○というのは難しいんですけど、「攻守にアグレッシブにサッカーをやる」というのは引き継ぎながらやると思います。それをさらに磨きをかけるために、選手1人1人が1つ1つのグラウンド上の行動、思考を止めない、状況判断に優れたサッカーをしていきたいと思っています。今何が必要か、何を選ぶべきか、相手が今どこで何分で場所はどこだということをすべて頭に入れながら、さらにそれが自分自身のことだけでなくて、チーム、グラウンドにいる全員が連動していくサッカーをぜひやりたいと思います。
――女子のサッカーの競技人口、指導者の拡大は日本サッカー協会の大きな使命だと思う。その点においてなでしこジャパンが果たす役割は大きいと思うが、そのあたりの期待は?
田嶋 私自身が選挙で会長になった時に女子サッカーの発展も挙げています。そのことをしっかり任期中にやっていきたいと思っています。そしてFIFAの新しいリフォームでも女子サッカーの発展がうたわれています。女子の時代にしていかなければいけないと思っています。11年にワールドチャンピオンになったわけですが、実際の女子サッカーの登録人口は1.5倍くらいになった。それでもわれわれの登録人口の5%にもなっていません。これは今井女子委員長にお願いしてありますが、できれば30%、それ以上になるくらいの長期的なマスタープランを立ててほしいと言っていますので、さまざまな観点からそれを実行していただけるものと思いますし、それを全面的に応援していかなければいけないと思っています。そして何よりもなでしこジャパンが勝つということが、女子サッカーの裾野を広げる後押しすることになると思っていますので、高倉監督、選手たちにはぜひ頑張ってほしいと思っています。