岩隈、急転ドジャース 前田への関心は? MLBウィンターミーティングの現場から
岩隈はドジャースと3年契約で合意した 【Getty Images】
自然と日本人選手の話題になる。
3日前にマリナーズと契約したばかりの青木宣親については、「ああいうエネルギッシュなタイプは、大好きなんだ」と笑みを浮かべ、交渉が佳境を迎えていた岩隈久志に関しては、「ぜひ彼に戻って来てほしい」と力を込めた。
しかし同じ頃、やはりナッシュビルの空港についたマリナーズのジェリー・ディポトGMは、携帯電話の機内モードを解除して顔を曇らせた。「朝、飛行機に乗るまでは、岩隈と契約できる」と思っていたそうだが、「着いたら風向きが変わっていた」と振り返る。どうやら、岩隈がドジャースと契約することを匂わせるメッセージが携帯電話に残されていたようだ。
岩隈をめぐる24時間の攻防
4日(金曜日)の午前、「シアトルに帰ってきました」と岩隈本人から連絡があった。6日も空港からウインターミーティング会場のホテルに向かうバスの中からショートメッセージを送ると、すぐに返事があったが、その後、何度連絡を試みても一度しか返事がなかった。
会場に着くと、「ドジャースが猛アタックをかけている」というニュースを耳に。対照的にマリナーズ側の動きはなかった。果たして6日午後5時、米スポーツ専門局『ESPN』のアナリストで、かつてナショナルズとレッズのGMを務めたこともあるジム・ボウデンが、「岩隈とドジャースが合意した」とツィート。その後、契約が4年総額4500万ドル(約54億円)であることなどが、続々と報じられた。
翌7日の夕方、マリナーズのディポトGMは、「ドジャースは最後に入って来た」と交渉終盤の状況を明かし、その動きをこう例えた。
「ボウリングのボールをいきなり、(こっちの)レーンに投げてきた感じだ」
ドジャースにしてみれば、ザック・グリンキーとの再契約を逃したこともあって、先発投手の補強が急務だった。2年契約を譲らなかったマリナーズに対し、3年契約を提示し、優位に立った。もっとも、マリナーズにもカウンターオファーをする機会が与えられたよう。3年契約にマッチするかどうか。しかしながらマリナーズの岩隈に対するオファーは3月に再交渉を始めた時から、ずっと2年。平均年俸ではドジャースの提示額と変わらなかったが、2年では当初から「重視するのは年数」と言い続けた岩隈を納得させることはできなかった。
5日、ディポトGMは、岩隈の代理人から「あと1日、時間をくれ」と言われたという。しかしその24時間が、事態を変えた。