平井監督、今大会は「70点ぐらい」 世界水泳・競泳の大会総括

スポーツナビ

最終日の男子400メートル個人メドレーで金メダルを獲得した瀬戸 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 水泳の世界選手権の最終日は9日、ロシア・カザンで行われ、競泳種目の全日程が終了した。
 最終日の男子400メートル個人メドレーでは瀬戸大也(JSS毛呂山)が金メダルを獲得。日本人史上初となる連覇で、リオデジャネイロ(リオ)五輪代表に内定した。しかし、大会前には200メートルバタフライや200メートル個人メドレーでもメダルを期待されていた瀬戸。それぞれ6位、準決勝敗退と結果を残せていなかった中での金メダル獲得だった。
 また、瀬戸のほかにも、男子では、入江陵介(イトマン東進)や小関也朱篤(ミキハウス)など、メダル獲得を期待された選手もいたが、今大会では結果を残せず。一方、女子は星奈津美(ミズノ)が200メートルバタフライで、また、渡部香生子(JSS立石)が200メートル平泳ぎで金メダルを獲得。リオ五輪代表に内定している。

 以下、競泳日本代表の平井伯昌監督の大会総括コメント。

金メダルを期待された入江陵介だったが今大会は無冠に終わった 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

――最後に瀬戸大也が金メダルを取りました。

 最初の(200メートル)バタフライと200メートル個人メドレーはあまり良くありませんでしたが、(瀬戸を指導する)梅原(孝之)コーチと修正し、開き直って(最後のレースに)向かってくれたので、結果が出たんじゃないかと思います。

 全体のメダル数としては、目標より少なくてもの足りないんですけれど、中身が金メダル3つということで、来年に向けて、金メダル獲得に関しては、明るい兆しがあるのではないかと思います。

――瀬戸の金メダルは狙いにいって取った分、価値があるのでは?

 価値はありますが、前半に大きな失敗もしました。来年のリオ五輪では初日に400メートル個人メドレーがありますから、(出だしで)失敗したらアウトです。最後は本当に良かったですけれど、良かっただけではない、ということは言いたいところです。

――瀬戸以外の男子選手は少し元気がありませんでした。

 そうですね。(以前も)お話ししたかと思いますが、事前に目標を掲げていたのが、本当に正しかったのかどうか。瀬戸は最後に優勝したことを考えると力があるんだと思いますが、大会前の見込みが甘かった部分がある気がします。あとはリレーのことを含めると、見込みが厳しいところが意外といけたり、いけそうと思っていたところが良くなかった。そういうことが全体的にあったんだと思います。ここ何年か女子があまり良くなくて、男子が世界のトップという感じでしたが、ちょっと緩みもあったと思うので、もう一度気を引き締め直したいと思います。

手術から約8カ月、徹底的に泳ぎ込みで世界の頂点に立った星奈津美 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

――世界のレベル向上は感じていますか?

(史上初めて自由形4冠を達成した、ケイティ・)レデッキー(米国)だけは(格が)違いますけど、日本が金メダルを取った種目で世界がどうだったかというと、そう高いレベルではなかったかと思います。全体的にものすごく伸びたところとそうでもないところがあるので、(大会が)終わってからすべてを検証したいと思います。来年(五輪)は、金メダルを取るのであれば、世界記録を視野にいれないと厳しいのではないかと思いました。

――男子に関しては北島康介選手と萩野公介選手が不在だった影響はありましたか?

 上野(広治)強化本部長と私を中心に、特に北京五輪が終わってから(大会の)初日に行われる種目の強化をやってきました。自由形の長距離の合宿であったり、個人メドレーの対策をやってきた中で、ロンドン(五輪)では萩野がメダルを取ったわけです。それまでは、初日にはメダルが取れなかったですが、北島が登場することで(チーム)みんなの士気が上がっていました。これからミーティングをしますが、来年のリオ五輪は400(メートル)の個人メドレーが初日にありますし、初日の大切さという項目もこれからも重視したいと思います。

――これからリオに向けてチームの柱となっていく存在が必要なのでは?

 それもあります。世界選手権前のミーティングで、古橋廣之進元名誉会長の映像を見てもらったんです。その中で出てきた「泳心一路(えいしんいちろ)」という言葉。来年に向けて、特に男子はとにかく水泳に集中してもらいたいです。泳心一路でいかないと、来年は(メダルを)取れないと思いますから。竹村(吉昭)コーチも私も言っていますが、結果を先に考えてしまうと気持ちがブレますから、結果は後にして最大限の努力をしてもらいたいと思います。

前日のレースで金メダルを取った星奈津美を追いかけるように渡部香生子も金メダルを獲得しリオ五輪内定をつかみ取った 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

――今大会を総括して点数をつけるとしたら何点?

 70点ぐらいですかね。金メダル3つは大きく評価できると思います。けれども、ひとつは金メダルで五輪の内定が懸かっていたので、銅メダルを狙いにいけば銅は取れたのではないかというレースはいくつかあったと思います。そういったことを鑑みると10個は無理でも6個はいけたのではないかと思います。

 来年は五輪です。みんな金メダルを狙いたいのはあると思いますが、自分のターゲットや、狙いを決めて持っている力をすべて出して、結果を残すということも考えなければいけないと思うんです。取りこぼしがあったことを考えると、70点ぐらいかなという感じです。

――前年に五輪内定を決めるのは日本としても初めてのことだと思う。その、3選手には何が必要で、どう強化していくつもりなのか?

 初めてのことなので分かりませんが、今までは五輪出場で世界選手権の出場内定というケースはありました。おそらく、強化はやりやすいと思うんです。選考会で五輪のリハーサルとして思い切ったことがやれると思います。プラスが大きいと思いますが、マイナス面もあると覚悟しながら、プレッシャーだったり油断がないように。個別の選手のミーティングは開く予定ですから、そういうときに話をしていきたいと思います。
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