入江陵介、悔しい個人種目メダルなし 視線はリオへ「もう一度頑張りたい」

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「もがきながらのレースだった」

 入江陵介(イトマン東進)の世界選手権(ロシア・カザン)は、53秒10の6位に沈んだ現地時間4日の男子100メートル背泳ぎに続き、7日に行われた男子200メートル背泳ぎでも1分54秒81で4位となり、個人種目メダルなしに終わった。

2大会連続で個人種目メダルなしとなった入江 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 2年前に行われたバルセロナ大会では「自分は表彰台の真ん中に立てない人間かも」という言葉が出るほど、心と体が不安定な状態でレースに臨み、個人2種目とも4位という結果に終わった。そこから2014年アジア大会では、100メートル・200メートルで2冠を達成し、今年に入ってからも6月の欧州グランプリで6連勝を飾るなど好調を維持。金メダルは「普通にいけば取れる」と自信を持って臨んだはずだった。

 まさかの結果に終わった今大会について、入江はこう振り返っている。

「悔しいしかないですね。今まで頑張ってきた分、悔しい思いが強いです。すごく孤独を感じる時もありましたし、よく分からなくなった時にもがく自分もいたりして。その中で、もがきながらのレースでした」

普通にいかなくなったときの対応が課題

波に乗れないまま個人2種目が終わってしまった。最終日のメドレーリレーでは会心の泳ぎを見せられるか 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 世界のレベルが急激に上がったわけではない。100メートルで優勝したミッチ・ラーキン(オーストラリア)のタイムは52秒40。入江は昨年のアジア大会で52秒34を出している。100メートルのレース後は「去年のタイムなら優勝できている。ただただ、自分が弱かったという一言に尽きる」と、自身の出来を悔やんだ。

 その3日後の200メートルに向けて試行錯誤を続けたが、最後まで自身のベストパフォーマンスは発揮できず、波に乗れないまま個人種目が終わってしまった。

「練習では良かったんですけれど、泳ぎが崩れたりした時に、(大会中に)修正する能力がなかったかなと思います」

 今大会に向けて、入江は前述の「普通にいけば取れる」という言葉を何度も繰り返していた。それゆえに、「普通にいかなくなった時」に受けたショックも大きかったのではないだろうか。

 大会中の修正力については、日本代表の平井伯昌監督も、チーム全体の課題に挙げている。

「調子が良い時はすごく乗っていくのですが、あまりうまくいかなかった時にとてももろい気がする。立て直すときのメンタルが重要だと思います」

 1年後のリオデジャネイロ五輪に向けて、課題は見つかった。入江に2年前のような涙はなく、「来年に向けてもう一度頑張りたいと思っている」と意欲を見せている。

 入江が世界の舞台で表彰台の真ん中に立てない人間なのかは、誰にも分からない。25歳の入江には、チャンスがまだ残されているのだから。その可能性を生かせるかどうかは、すべて入江次第だ。

(取材・文:豊田真大/スポーツナビ)
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