ゴールドシップの出遅れはなぜ起きた 横山典、裁決委員の状況説明から検証
ゴールドシップがまさかの大出遅れ……いったい何が起きた? 【スポーツナビ】
ラブリーデイは今回の勝利で23戦7勝、重賞は2015年GIII中山金杯、同GII京都記念、同GIII鳴尾記念に続き4勝目。騎乗した川田は宝塚記念初勝利、同馬を管理する池江泰寿調教師は09年ドリームジャーニー、12年オルフェーヴルに続く同レース3勝目となった。
一方、宝塚記念3連覇がかかっていた横山典弘騎乗の1番人気ゴールドシップ(牡6=栗東・須貝厩舎)は、ゲートで大きく出遅れてしまい15着大敗。なお、クビ差の2着には浜中俊騎乗の10番人気デニムアンドルビー(牝5=栗東・角居厩舎)、さらに1馬身1/4差の3着には池添謙一騎乗の11番人気ショウナンパンドラ(牝4=栗東・高野厩舎)が入った。
「彼に聞いてみないと分からない」
「スタートまであともうちょっと、大丈夫だよ、というところで馬が“ウワーッ!”となってしまって、これはもうダメだと思った。なぜこうなったかは彼(ゴールドシップ)に聞いてみないと分からない」
レース後、横山典が問題のシーンを振り返った。名手ですらお手上げとなるゴールドシップの突然のこの行動。横山典が語るように、なぜ急にゲート内で暴れてしまったのかは、それこそ馬に聞いてみないことには分からないのだけど、それも無理な話。ここでは、レース後に急きょ開かれた裁決委員の説明をもとに、ゲートシーンを客観的に検証してみたい。
タイミングが悪かったとしか……
横山典、裁決委員のコメント、状況などから判断すると悪い偶然が重なったとしか…… 【スポーツナビ】
しかし、事態が急変したのは、最後の1頭、ゴールドシップの1つ左隣の大外枠ラブリーデイがゲートに入った直後だ。その少し前にゴールドシップの1つ右隣のトーホウジャッカルがゲート内で少しチャカチャカし、それにつられたという見方もできるかもしれないが、明らかに暴れ出したのは両隣に馬が収まった直後だった。
ゴールドシップはたまらず立ち上がってしまうのだが、ここではもちろんゲートは開かれない。その後、横山典が何とか制御し、ゴールドシップも両前脚を下ろして落ち着いたように見えた。事実、裁決委員によると、ここで横山典から“大丈夫だ”という意思表示が送られ、それも含めてスターターも発走可能とみなし、ゲートをオープンした。
ただ、悲劇は最悪のタイミングでやってきた。
スターターがゲートオープンのレバーを握り、実際にゲートが開くまでのコンマ何秒かのタイムラグの間に、ゴールドシップは再び立ち上がってしまったのだ。
何度も繰り返し見せてもらったパトロールフィルム、裁決委員の状況説明、そして、横山典のコメントなどを総合しても、これは誰を責めることもできない。本当にタイミングが悪かった――としか言いようがない。かくいう僕も、実は取材でスタートのレバーを握らせてもらったことがあるのだけど、レバーを握ってからゲートが開くまでのあのタイミングで馬に立ち上がられてしまっては、どうすることもできない。やはり、悪い偶然が重なってしまったと言うほかはない。