ゴールドシップの出遅れはなぜ起きた 横山典、裁決委員の状況説明から検証

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「これからも見捨てずに見守って」

レース直後に脚元に何もないことを確認し合った横山典と須貝調教師、今後は未定という 【スポーツナビ】

 横山典が言う。

「馬券を買ってくれたファンの人たちには本当に申し訳ないんですが、これも込みでアイツの個性と思ってもらえれば……。これもこの馬らしいと」

 また、同馬を管理する須貝尚介調教師もガックリと肩を落としながら「ゴールドシップだけは本当に分からない。練習では何もしなかったんですけどね……。ファンの人たちには悪いんですが、こういう馬と理解してほしい。本当にごめんなさい。これからもゴールドシップを見捨てずに見守ってやってください」と、応援してくれているファンに理解を求めた。

 今後についてだが、「未定ですね。ノリちゃん(横山典)も最後は無理して追わなかったし、馬の様子を見て今後をどうするかですが、まだ分からないです」とトレーナー。なお、7月20日以降にゲート駐立の再審査が行われるという。

充実ラブリーデイ、中距離の星へ

上半期最大の上がり馬となったラブリーデイ、中距離の星を目指す 【スポーツナビ】

 一方、レースを制したのは川田将雅騎乗のラブリーデイだった。喧騒の中を冷静に2番手から追走し、正攻法でしっかりとGI勝利を決めてみせた。どうしてもゴールドシップの出遅れにばかり注目が集まってしまうが、ラブリーデイはこれで年明けの中山金杯を皮切りに今年重賞4勝目。GIまで一気に駆け上がり、2015年上半期最大の上がり馬となった。

「本当にいいときに乗せていただけましたね。逞しくなっていますし、馬場が悪くてもこなせるようになっているので、何の心配もなく乗ることができました」

 今回およそ1年ぶりにコンビを組んだ川田も、相棒の充実具合を絶賛。また、ゴールドシップが出遅れたのをすぐ隣で見た川田だが、それにつられて浮足立たず、「行きたい馬がほぼいない様子だったので、流れが遅くなるのは見えていました。だから、逃げたレッドデイヴィスを壁にして2番手を取りに行こうと思ったんです」と、レースの状況をすぐさま判断し、その流れに合わせてラブリーデイの能力をスムーズに発揮させた手腕も見事だった。

 今後はGIホースという看板を背に走ることとなる秋競馬。川田は「結果が出ている2000メートル前後がベストだろうと思います。距離が延びるのはいいこととは思わないので、2000メートル前後でしたら上手に競馬をして、安定して走れると思いますね」と、中距離路線の星としてさらなる活躍に期待を込めた。

ゴールドシップの買い時、切り時

 これで上半期のJRA・GIシリーズは終了。この宝塚記念の売得金約195億円のうちゴールドシップ絡みの馬券は約121億円だったというから、相当数の人にとって後味の悪いレースとなったかもしれない。しかし、それもこれも含めて「競馬なんだ」と割り切るしかない。そして、横山典、須貝調教師が言っていたように、「これがゴールドシップなんだ」と割り切って、今後は馬券検討の参考にするしかなさそうである。

 今後ますます、ゴールドシップの“買い時”“切り時”が難しくなりそうだ。

(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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