ハリルホジッチ「非難するなら私」=W杯アジア予選 シンガポール戦後会見

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シンガポール戦後、会見に臨んだハリルホジッチ監督 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 サッカー日本代表は16日、埼玉スタジアム2002でシンガポール代表とのワールドカップ(W杯)アジア2次予選兼アジアカップUAE2019予選に臨み、0−0の引き分けに終わった。日本はキックオフと同時にゴールを攻め立てるも、GKを含めた10人で守備を固めるシンガポールに対し攻めあぐねる。後半には岡崎慎司、本田圭佑が決定的なヘディングシュートを放つが、GKイズワン・マフブドがスーパーセーブを連発。その後も槙野智章や本田のシュートがポストをたたく不運にも見舞われ、ロシアW杯に向けた初戦は、まさかのドロー発進となった。

 再三、決定機を迎えながらもゴールを奪えない展開について、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「私の人生で、19回のチャンスを作りながら点が入らなかったという経験はほとんどない」と嘆いた。それでも、「非難するなら選手でなく、私を非難してほしい。勝ったら選手のおかげで、負けたら私の責任だ」と語り、選手たちを擁護した。

1点さえ取ればすべてが変わったゲーム

 この試合についてコメントするのは難しい。それなりに長いサッカー人生を送ってきた。このようにボールを支配し続け、19回の決定機を作ったのに、こういう(点が入らない)試合を見たのは初めてだ。そしてこのような試合になると、カウンターから1点を取られて敗れるということはよくある。結果には全員が失望している。たくさんの観客が来てくれて、準備してくれたし、雰囲気も良かった。ただ、われわれのチームを非難することはできない。勝つためにすべてを出したが、最後の決定的なチャンスをものにするところが足りていなかった。

 慌てていたのか、少しチャンスがなかったか、相手GKが良かったというのもあった。彼は素晴らしいセーブ見せていた。私にとっても厳しい結果だ。こういう初戦には、いつもわなが仕掛けられている。選手たちを非難していないし、次の試合に向けて、しっかり点を決めて勝とうと言った。

──イラク戦に比べて選手の動きが違っていたが原因は何だと思うか? 精神的なものなのか、それとも疲れなのか?(田村修一/フリーランス)

 相手が守備しかしないことは、ある程度予想できた。大げさに言えば、われわれにとって怖い相手ではなかったし、相手のCKもなかった。選手もかなりのモチベーションがあったので、本当に1点さえ取ればすべてが変わったゲームだった。ただフィニッシュのアクションに少し正確さが足りていなかった。慌てた状態だったと思う。最後のシュート、最後のラストパスでの集中。みんながゴールを決めたいと思っていたが、GKの素晴らしいセーブもあって、さらにはポストやバーに当たったりした。そういう試合だったと言うしかない。

 フットボールには時々、こうした難しい状況がある。「100%これは決まるだろう」というチャンスを19回作った。フィニッシュに関しては、いくらでもディスカッションができるだろう。選手は本当に勝利を求めていた。もしかしたら次の試合は、少ないチャンスでも得点が入るかもしれない。イラク戦では、こんなにチャンスを作っていない。ただし、こういうチームにも勝たなければならなかった。

 ショックではないが、それに近い感覚がある。選手には「まだまだ希望を失うな。次がある。もっともっと良いゴールを奪えるので頑張ってほしい」と伝えた。最後に5〜6人ほどが勝負を仕掛けてくれた。後半の最後はリスクを負っていたが、相手はすでに走ることができなかった。向こうの(ベルント・シュタンゲ)監督は試合後に「われわれは守備しかできなかった」と言っていた。そうはいっても、シンガポールの選手にはおめでとうと言いたい。彼らは求めた結果を得られたからだ。

選手たちを非難する言葉は見当たらない

ハリルホジッチ監督は、中に入りすぎていたことを課題に挙げたものの、選手たちのプレーを称えた 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

──格下の相手に主導権を握りながら点が取れない。簡単なことではないと思うが、改善するにはどういうことを意識づける必要があるか?

 おっしゃるとおりで、向こうがどう引いてくるかは分かっていた。具体的にいうと(対策として)逆サイドにダイアゴナル(斜め)のパスを要求していたが、選手はそれを実現できずに中に入りすぎていた。中を崩すのであれば、ダイレクトで2〜3回(パスを)つながなければならない。ワンタッチの突破は4〜5回成功したものの、シュートに正確さを欠いた。最後の仕留めるところでの正確さが足りていなかった。

 私は現役時代にFWだったので、彼らがどういう心理状態だったのかが分かる。彼らもこういった経験をたくさんしてきただろう。ただ、そうはいってもわれわれは前半にあれだけ支配していて、(ゴールから)16メートル手前でFKがあったのにそれも決められなかったのは説明し難い。16メートル手前で後半はチャンスがいくつもあったのに、それも決め切れなかった。それでも選手はゴールを強く望み、すべてを出し切った。少し私がプレッシャーをかけすぎたのかもしれないが、選手たちを非難する言葉は見当たらない。サッカーで最も難しいのは得点を決めることであり、その点に関してはわれわれのパフォーマンスは整っていなかった。また相手のGKはかなり良いセーブをしたし、バーに直撃する不運もあった。こういう試合はある。

 この試合は本当に、みんなが勝ちたいと思っていた。観客の皆さんも素晴らしい雰囲気を作ってくれて、失敗するわけにはいかなかったのだが、このような結果になってしまった。W杯で必ず勝てる試合はないと以前に話した。(今日の試合は)全員が勝つだろうと思っていたわけだが、こういった好ましくないことが起こってしまったので分析しなければならない。後半は少し疲れている選手もいたので交代したが、まだこちらの要求するところまでフィジカルが到達していない選手も何人かいた。まずはしっかり分析しなければならない。運がなかったということでなく、(勝てなかったのは)他の要素もある。冷静にしっかり分析して、トレーニングを続けていくしかない。

──前半45分をどう評価して、ハーフタイムではどのような指示を出したのか?(大住良之/フリーランス)

 ハーフタイムで選手に伝えたのは、中に攻めすぎているということだ。中から攻めるとフィニッシュが難しくなるし、ダイレクトには行けないだろうと。中を崩すならフリックとか、2〜3回のワンタッチを使うしかない。だから、できるだけ外からボールを入れてくれという話をした。特に斜めの、逆サイドへ出すボールを入れてほしかった。昨日の練習でも、逆サイドからセンタリングを入れる練習をしていた。後半、2人のFWを置いて、両サイドからセンタリングを入れて合わせようとした。良いポジションからヘディングシュートを打っていた。タクティクス(戦術)のアドバイスは正しかったと思う。

 ただし相手もわれわれの考えを理解して縦を塞いでいたので、逆サイドを使ったり、オーバーラップやワンツーにトライした。太田(宏介)には「今日は君の試合だ」と伝えた。彼の前にはブロックする選手がいたが、それでもしっかりセンタリングを供給してくれた。勝つためにすべてはやったつもりだ。それでも私の人生で、19回のチャンスを作りながら点が入らなかったという経験はほとんどない。このような試合もあるし、選手を何ら非難できない。非難したければ私を非難してほしい。私は選手を守りたい。(結果には)少しがっかりしているし、受け入れ難い。スペクタクルな試合をして、たくさんゴールも生まれて良かったのだが、次の機会がある。

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