シュタンゲ監督「選手たちを誇りに思う」=試合後、シンガポール代表監督会見
試合後の会見に臨んだシュタンゲ監督(左)は選手たちを称えた 【写真:ロイター/アフロ】
試合後、シンガポールのベルント・シュタンゲ監督は、「われわれのサッカーは魅力的でなかったと思う」と話しながらも、「自分たちのやれることをやるしかなかった。だからこそ、今日の選手たちを誇りに思う」と戦術をまっとうしたチームを称えた。
日本の攻撃が残念だったとは思わない
攻められ続ける試合展開の中、好セーブを連発したGKマフブド 【写真:ロイター/アフロ】
──世界レベルのセーブを連発したGKマフブドについてコメントしてほしい。
彼は若いGKでまだ24歳だ。近い将来、大きなクラブから誘いが来るだろう。元ストライカーだが非常にリアクションが早く、現在のチームで重要な一部を担っている。日本でプレーする日も来るのではないか。
──守備に関して、とくに中盤3枚のカバーリングが素晴らしかった。日本の攻撃は予想通りだったか?
日本は素晴らしい攻撃をして、しかもそれが90分間続いた。私は攻撃的なサッカーが大好きだが、それでもこの試合は守る必要があった。ただし守備については、くだらないファウルをしないよう選手には言い聞かせた。実際、イエローカードは1枚もなかった。しっかりとフェアな守備をして、しっかりと自分たちをコントロールしていた。われわれはFIFA(国際サッカー連盟)ランキング154位(編注:6月4日発表の最新ランキング)だ。そんなチームが、6万人近い観客がいるアウェーで日本と試合をすれば、攻撃で圧倒する相手に対して自分たちのやれることをやるしかなかった。だからこそ、今日の選手たちを誇りに思う。ただし、日本の攻撃が残念だったとは思わない。本当に難しい試合だった。そんな中、われわれは頑張ったし、GKも素晴らしかったし、そして運もあった。
シンガポールには明るい未来がある
日本代表の(ヴァイッド・ハリルホジッチ)監督、そしてコーチは経験豊富であり、正しい選択をしたと思う。試合が進んで疲れてくるとフレッシュな選手、フレッシュな足が必要となる。それと忘れてはならないのが、日本代表のほとんどが欧州での長いシーズンを終えたばかりで、とても疲れていただろうということだ。自国のリーグだけでなく、チャンピオンズリーグもあっただろうし、国内のカップ戦もあっただろう。シーズンが終わった直後で疲労感もあり、それによって集中力が欠けていたのかもしれない。あるいは、われわれを過小評価していたかもしれない。それでも監督は正しい選択をしていたし、フレッシュな選手を入れたのも当然だ。われわれも、もっとカウンターアタックを仕掛けて、さらにセンセーションを起こせたかもしれないが、そこまでの力はまだなかった。
──2004年にイラク代表監督として日本代表と対戦し、その時は0−2で敗れていたと思う。その経験を踏まえて、今回日本に引き分けたことをどう感じているか?(宇都宮徹壱/フリーランス)
忘れていた。あの頃はジーコ監督が日本代表を率いていて、兄も(コーチングスタッフで)いたと思う。イラクは戦争が終わったばかりで、自分にとっても非常に大変な時期だった。その後イラクは、07年にアジアカップで優勝したし、私も当時の仕事に誇りに思っている。今でもイラクの選手やイラクの人々とは友人関係にある。ただ(今回のシンガポールとは)まったく違うチームだ。あの時は攻撃的なチームだったが、日本に敗れてしまった。シンガポールは、攻撃的なサッカーができるほどの力はまだない。
──今日の引き分けがシンガポールに与える影響は?
こういう結果は非常に重要だ。前回シンガポールが日本と戦ったのは04年のことで、試合には敗れたと思う(ホーム1−2、アウェー0−1)。シンガポールは東南アジアのチームとしか対戦していないが、日本や韓国、オーストラリアといったチームと対戦するのは非常に重要なので、そういう試合をしたいと思う。かつてシンガポールには人工芝のピッチしかなかったが、今では世界に誇れる素晴らしいクオリティーのスタジアムがあり、芝もしっかり管理されている。それから育成についても、イラクでやってきたようなプランを持っている。それらも含めて、シンガポールには明るい未来があるが、次のレベルに上がるにはまだあと4〜5年はかかると思う。
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