イチローと田口(写真左から2番目)らが築き上げた外野陣は「球界一」と称され、2度のリーグ制覇など90年代躍進の立役者となった(写真は共同)
阪急ブレーブス、オリックスブルーウェーブ、オリックスバファローズと、各時代の選手が比較的バランスよく上位に収まったのではないか。
先発の1位は、阪急ブレーブスのレジェンド・山田久志。アンダースロー投手としてはNPB最多の通算284勝を挙げた。技巧派の多いサブマリンにあって、「当時の阪急投手陣の中で最も球が速かった」と言われた速球派である。2位の金子千尋(現・弌大)は北海道日本ハムで現役。3位の「星の王子さま」星野伸之は130キロ台の“遅球”と70~90キロのカーブを武器に1995年、96年とチームをリーグ連覇に導いた。
中継ぎ、抑えでともに1位となったのは、現マリナーズ所属の平野佳寿。プロ入り5年目の2010年にセットアッパーに転向し、12年からクローザーとなった。2位の山本由伸は2年目の18年に中継ぎとしてブレーク。現在は先発として、不動のエースに成長しようとしている。3位・佐藤達也は剛腕セットアッパーとして、2度最優秀中継ぎに輝いた。
抑えで2位の山口高志は、球史に語り継がれる剛速球の持ち主。3位・平井正史はプロ2年目の95年、15勝5敗27Sで最優秀救援投手と最高勝率、新人王を獲得した。
捕手1位の中嶋聡は阪急に始まり、西武、横浜、日本ハムと計4球団を渡り歩いて29年の現役生活を全うした。星野の投球を素手で捕球した話は、あまりにも有名だ。中嶋の西武移籍で正捕手に就いた日高剛は3位。横浜DeNAで現役の伊藤光が2位に入った。
一塁は84年、来日外国人選手初の三冠王を獲得したブーマーが、59.64%の得票率で1位。この年のリーグ優勝の原動力となり、MVPにも輝いた。2位の加藤英司は低い構えからのフルスイングで、首位打者2回、打点王3回。カブレラは3年間の在籍ながら、3番目の得票率を得た。
二塁で1位の福良淳一(現・GM)は、二塁手として連続守備機会無失策804回のNPB記録を樹立。2位・マルカーノは強肩巧打で1975年、球団初の日本一に貢献した。二塁と外野を掛け持ちした、いぶし銀の平野恵一が3位。
三塁1位は日本人初の左右打席本塁打を記録したスイッチヒッター・松永浩美。2位のバルディリスは勝利後、遊撃部門2位の大引啓次らとハイジャンプ&ハイタッチするパフォーマンスも人気だった。
遊撃の1位は安達了一。「遊撃を守れなくなったら、もう引退」と口にするほどこだわりを持っている。3位は阪急で名手・大橋穣の後の遊撃を守った弓岡敬二郎。84年のリーグ優勝時には打率3割でベストナインの活躍だった。
外野はイチローが95.51%の得票率で断トツ。2位に66.86%で「世界の福本」こと福本豊が続く。盗塁王13回、通算1065盗塁はいずれも歴代最多。公称169cmの小柄な体で、パンチ力もある「恐怖の一番」だった。3位の田口壮は遊撃から外野に転向し、イチロー、本西厚博、谷佳知らとともに“球界一の外野陣”を築き上げた。
DHは1位にローズ。巨人から移籍2年目の08年、40歳ながら40本塁打、118打点で三度目の打点王に輝いた。ところでDH部門2位の門田博光が右翼、3位の石嶺和彦が左翼、「デカさん」こと高橋智が中堅という布陣が一軍の試合で過去、実際にあったそうだ。全く守備に興味のなさそうな、この“恐怖の外野陣”。彼らをバックに投げた投手の感想を、いつか聞いてみたい。
(文:前田恵、企画構成:株式会社スリーライト)