大谷翔平、今季第1号の余韻が残る試合後の東京ドーム 「次回はあるのか?」ドジャース選手たちは早くも期待

丹羽政善

佐々木朗希メジャーデビュー戦の評価は?

メジャーデビュー戦で圧巻の投球を見せた佐々木朗希だが、課題も残った 【写真は共同】

 さて、佐々木朗希のデビューは、評価が割れる内容。三回、内野安打の後で盗塁を許し、そこから3連続四球で押し出し。このとき投手交代かと思ったが、デイブ・ロバーツ監督は動かなかった。珍しく我慢したのだ。

 それが吉と出る。佐々木は2連続三振でピンチをしのいだ。

 押し出しの後、1死満塁でマウンドを譲るのと、投げ切るのとでは大きな違い。ロバーツ監督は、「彼が投げたがっていた」という気持ちを信じ、託した。

 もっとも、あそこでさらに四球を出すか、打たれれば、試合展開どころか、佐々木自身が大きなダメージを負う。どちらに転ぶかわからない賭けではあったが、ロバーツ監督の我慢が、佐々木を救った。

 一方の佐々木自身は、「球速に関してはアップのときからいいフォームで投げられて手応えを感じていましたし、いい感覚で投げられた」と納得の表情だった。

「制球は少し微妙なずれがあったので次に向けて修正しないといけないと思いますけど、そこがしっかり戻ってきたこと、そっちはよかった」

 昨年は落ちた平均球速。100マイルが戻ってきたことは、彼の自信になった。

 大谷はこう評価している。

「朗希も難しい中でよく踏ん張っていたんじゃないかなと思う。勝ちのチャンスを最後まで残してくれるような粘り強いピッチングだった」

東京ドームのファンの声援に応え、引き揚げる大谷翔平。次回はいつこの光景を見られるだろうか 【写真は共同】

 さて、その大谷は最後にこんな話をしている。

「本当にいい思い出になりましたし、またいつか、こういうふうな形で試合ができたらうれしい」

 来年は、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)がある。大谷が出るなら、前回以上の盛り上がりとなりそう。

 また、現在の労使協定が来年で切れるので、2027年以降に再び、来日するチャンスが巡ってくる。通常、5年間の契約期間で、海外開催など特別イベントに参加できるのは2回まで。ドジャースは韓国、日本でそのカードを使い切ったが、来季終了後にリセットされる。大谷とドジャースの契約は後9年残っているので、数年のうちに来たとしても、驚きではない。

 そのとき、ドジャースの選手らは喜んで参加――いやむしろ、そんな話が出れば、積極的に話を進めるよう、リーグに働きかけるはずである。

2/2ページ

著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

新着記事

スポーツナビからのお知らせ

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント