イチローと大谷翔平をつなぐ東京ドームの1枚のドア ドジャースの選手たちも日本のボールに「?」
ドジャースの選手たちも日本のボールに首をかしげる
その大谷の本塁打が飛び出した三回、まず先頭のマイケル・コンフォートが右翼席へ1発。大谷の後、テオスカー・ヘルナンデスも続き、この回だけで3本塁打。これは、午後に行われた1試合目――阪神vs.カブスの傾向からは、想像し難い展開だった。
ドジャースのコーチ、選手らも口々にそれを試合後に指摘している。カブスの試合を見ていて、「なんか、おかしいなと話題になった」とは、投手コーチ補佐のコナー・マクギネス。本塁打を打ったコンフォートも、「メジャーリーグのボールよりは飛ばないボールを使っている、というのは試合前に共有されていた」と明かす。
「自分の当たりはほぼ完璧。飛んだとも思ったけど、400フィート飛ばなかったから(実際は393フィート)、『アレっ?』とは思った」
2019年、メジャーリーグではシーズン最多となる6776本塁打が飛び出した。このときの抗力係数は約0.33。2022年、ボールが飛ばないと打者が騒ぎ出した。そのときの効力係数の平均値は0.35前後。たった0.02でも、打者は打った瞬間にその違いを感じる。
河野さんは、サンプルが少ないので参考程度としているが、約0.04も違えば、メジャーの選手ならやはり、すぐさま首をかしげるレベルなのだ。
ちなみに2010年、47本塁打を放ったクレイグ・ブラゼル(阪神)はその翌年、その数を16本に、さらにその次の年はケガもあったが、12本まで減らした。12年3月の日本開幕戦でマリナーズが来日した際、今回のように巨人、阪神と襷掛けで親善試合が行われたが、そのときにこう教えてくれた。
「メジャーの球で少し打撃練習をしたんだ。そしたら、はるかに伸びが違う。明らかに日本は、飛ばないボールを使っている」
その変遷についてここで詳しく辿ることはしないが、紆余曲折があってまた、打者受難の時代に。データが、そして選手の証言が、それを教えてくれる。