初の甲子園に挑む横浜の大器・阿部を筆頭に粒ぞろい 識者が選ぶセンバツの注目野手10選

西尾典文

夏の県大会が2年連続準優勝に終わっていた横浜の阿部にとっては、今大会が悲願の甲子園初出場だ。高校年代屈指の強打者は2年夏から主将の重責も務める 【YOJI-GEN】

 開幕が3月18日に迫った第97回選抜高校野球で、特に注目すべき選手は誰なのか。投手編に続いて、ここでは必見の野手を10人ピックアップして紹介する。名門・横浜に入学当初から大器と期待されながら、今大会が甲子園初出場となる阿部葉太を筆頭に、タレントは粒ぞろいだ。

阿部葉太(横浜/3年/外野手)

 今年の高校球界を代表する強打の外野手。名門横浜で入学直後からレギュラーを獲得すると、昨年夏には2年生ながら主将も任されて話題となった。もともとミート力は高かったが、着実に体つきも大きくなっており、それに比例するように長打も増加。3月7日に行われた東京大との練習試合でも大学生を相手に特大の一発を放ち、その実力を見せつけた。

 センターの守備も打球に対する反応が良く、球際の強さも光る。スローイングは少しコントロールに課題が残るものの、肩の強さも十分だ。1年時から大器と騒がれながら今大会が初の甲子園出場となるだけに、これまでの鬱憤を晴らすような活躍を期待したい。

赤埴幸輝(天理/3年/遊撃手)

走攻守の三拍子がそろう天理の赤埴だが、特筆すべきは守備力だ。捕球からスローイングまでの動作に淀みがないショートの守備を、プロのスカウトも高く評価 【YOJI-GEN】

 近畿で早くから評判となっていた大型ショート。父と兄も天理で甲子園に出場した野球一家に育ち、自身も1年春から定位置を獲得している。長身ながら細かいステップワークでバウンドを合わせるのが上手く、捕球から送球の流れにも無駄な動きがない。三遊間の深い位置からも正確に投げられるスローイングも光る。

 打撃面はまだ細身で力強さにやや欠けるものの、体の近くから鋭く振り出すことができてミート力は高い。脚力も申し分なく、長いストライドを生かしたベースランニングは迫力十分だ。選抜でパワーアップした姿を見せることができれば、一気にドラフト上位候補にもなりうるだろう。

古城大翔(花巻東/2年/三塁手)

元プロ野球選手の父を持つサラブレッドは、恵まれた体格を生かした豪快なバッティングが魅力。花巻東のスラッガー古城が狙うのは、甲子園での初アーチだ 【写真は共同】

 日本ハムと巨人で内野手として活躍した古城茂幸氏(現巨人内野守備走塁コーチ)を父に持つ二世選手だ。1年春からかつて大谷翔平(ドジャース)も背負った背番号17でベンチ入りすると、昨年夏の甲子園でもチームは初戦で敗れたものの、4番打者として2安打を放った。

 たくましい体格を生かした豪快なスイングが売りで、ヘッドスピードと打球の速さには目を見張るものがある。ファーストストライクから積極的に振りに行ける思い切りの良さも魅力だ。サードの守備と走塁面には課題が残るとはいえ、貴重な右の大砲候補として楽しみな存在であり、この選抜では甲子園第1号にも期待がかかる。

見村昊成(東洋大姫路/3年/外野手)

昨秋の近畿大会では4試合で16打数7安打、打率.438を記録し、東洋大姫路の優勝に貢献した見村。上から一気に叩くスイングで力強い打球を放つ 【YOJI-GEN】

 力のある選手がそろう東洋大姫路の中でも、攻守に圧倒的な存在感を示している。中学まではキャッチャーだったが、脚力と肩の強さを生かして外野手に転向すると、旧チームからライトのレギュラーとして活躍してきた。

 新チームでももちろん不動の中軸を担い、昨年秋の近畿大会では全4試合でヒットを放ち、4割を超える打率を残してチームの優勝に貢献した。ボールを叩くインパクトが強烈で、外野の間を抜けていくライナー性の打球がいわば代名詞だ。ハイレベルな守備も必見だが、選抜では不発に終わった明治神宮大会の悔しさを晴らすようなバッティングを披露してほしい。

小堀弘晴(健大高崎/3年/捕手)

 旧チームでは、当時高校ナンバー1の呼び声が高かった箱山遥人(現トヨタ自動車)がいたため、レギュラーとなったのは2年の秋からだが、そんな経験不足をまったく感じさせない。素早い動作から速く正確に投げられるスローイングは超高校級で、しっかりミットを止められるキャッチングの安定感も光る。

 中軸を任されている打撃も鋭い振り出しで広角に強く打て、秋の関東大会では4試合で5割を超える打率を残した。まさに攻守の要と言える、今大会屈指の強肩強打のキャッチャーはプロからの評価も高い。大会連覇を狙うチームのキーマンの1人だ。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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