ドジャースのリポーター・ワトソンさんが語る日本の印象 山本由伸と交わした約束と佐々木朗希の印象とは?

丹羽政善

昨シーズン、サヨナラ満塁弾で40号に到達した大谷翔平にインタビューするキリステン・ワトソンさん 【写真は共同】

 昨年8月末のアリゾナ遠征。試合後、ドジャースの山本由伸が帰ろうとしているときだった。

 彼が持っていたバッグに目を奪われたキリステン・ワトソンさんは、「そのバッグ、どこで買ったの?」と話しかけた。

 詳細なやり取りまでは聞こえなかったが、山本が「東京」と答え、「じゃあ、開幕戦で日本へ行ったとき、ショッピングに連れてって」とワトソンさんがお願いしたところ、山本が「もちろん」と応じた。

 今回、改めてワトソンさんに経緯を確認すると「そうなのよ」と頬を緩めている。

「彼にショッピングに連れてってお願いしたの。どこでもいいから、あなたの行くお店に案内してって」

 きっかけもバッグで間違いなかった。

「彼が素敵なバッグを持っていて、私もいいバッグを持っているけど、彼のバッグは、私のものよりもおしゃれだった。私のコレクションに加えたいと思って」

 ワトソンさんは、「それよりも彼がどんなところに連れてってくれるのか、それが楽しみ」と言う。

 その様子はおそらく、彼女がリポーターを務めている 「スポーツネットLA」で放送されると思うが、2人が現れたら、周辺は大騒ぎになるのではないか。

日本について知っていること、楽しみな初来日

 いずれにしても、そういったお願いをサラッとできるところが、彼女の凄さ。それはすなわち、選手との関係値を示し、彼女が普段、どんな取材をしているかが透ける。

 単なる仕事なのか。野球に興味を持ち、選手と接しているのか。そもそも、野球が好きなのか。その選手のことをどれだけ理解しているのか。

 選手らは、よほどのことがない限り彼女のインタビューを断らない。もちろん、「スポーツネットLA」は、ドジャース傘下のテレビ局なので、“身内”でもある。

 しかし、それだけではない。これまでいろんな現場で、中継局の男性リポーター、女性リポーターに接してきたが、ワトソンさんの近さはベテランレベル。昨年1年同じ現場にいて、それを知ることができた。頭の回転の良さ。スポーツに関する知識。話が自然と弾む。

 やや話が脱線したが、彼女にとって今回が初来日になるという。

「(行けそうなチャンスが)あったかもしれないけど、結局は行けなかったので、今回が私にとって初めての日本訪問です」

 日本について、どんなことを知っているのか? そんな質問には、こう答えている。

「美しい国で、みんな行儀正しくて、互いを尊重し、すごく街がきれいだって聞いています」

 この辺りは、1月に日本を訪れたムーキー・ベッツから聞いたよう。

「あとは買い物をするところもいっぱいあって、もちろんご飯もすごく美味しいって、誰に聞いてもいいことばかり教えてくれるわ」

 買い物に関しては正直、ロサンゼルスにも多くのお店があるので、どれだけ違いがあるのかわからない。ただ、カブスの若手成長株ピート・クルーアームストロングも「時間があったら、日本で買い物をしたい」と話しており、東京は“ファッションの街”として認知されているよう。

「デニムジーンズが買いたいんだ」と髪の毛を青に染めているクローンアームストロング。確かに、良質のデニムを見つけるのに苦労はしない。今回、ロースターに入った選手には、10万ドル(約1500万円)のボーナスが支給されるので、資金にも余裕がある。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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