栗山巧 独占手記「生涯つらぬく志」

栗山巧の覚悟「僕はまだまだ戦っていける」 全力を尽くし、ファンを幸せにする一年が始まる

栗山巧

選手がやるべきことはいつも変わらない

ともに戦うチームメート、そしてファンに向けて栗山巧が届けたい思いとは 【撮影:スリーライト】

 ファンの皆さんにもっと喜んでもらうために。それにはやはり、チームが勝つことは大事だと思います。

 たとえ負けても、いい思い出になるような戦いを見せる。それはプロとして強く心がけていることですが、加えてやはり勝利はお届けしたい。

 でも、それは去年がああいうシーズンになったから、というだけではありません。

 責任を感じて、去年の分まで今年は頑張る。僕の中に、そういう気持ちはあります。

 ただ、23年間プロとしてやってきて、違う考え方も自分の中に芽生えてきています。

 たくさんの監督、コーチ、そしてフロントの方と、僕はお仕事をご一緒してきました。チームが成果を挙げられたこともあれば、そうじゃなかったこともあった。でも誰ひとりとして、覚悟を持たずに事に当たられていた方はいなかった。

 監督、コーチは覚悟と責任を持って事に当たられた。僕らも全力を尽くした。一方で、球界全体もファンの皆さんのために頑張っている。リーグのレベルはどんどん上がっていく。

 その結果として、ああいうシーズンになった。

 とても残念だし、たくさんの方を悲しませたのは、本当に申し訳ないと思っています。でも、僕ら選手にできるのは、次なるシーズンこそファンの皆さんと喜びあうために、全力を尽くすことだけじゃないか……とも思うんです。

 たとえこれが、優勝した次のシーズンだったとしても。僕らにできること、やるべきことはシンプルで、いつも変わらない。僕はそう考えています。



 全力を尽くすことだけ。

 ここまでシンプルに言わせていただくからには、本気で取り組まなければならない。そういう覚悟を持って、今シーズンも戦っていきたいと思っています。

 チームとしても、去年のことを引きずりすぎず、新しいチャレンジとして前向きに進んでいきたいです。もちろん反省も必要ですが、ネガティブなイメージを過度に持つことは、あまりプラスに働かない。経験上、そう思います。

 特に今年は、僕たち選手全員にとって、新監督のもとで迎える初めてのシーズンになります。考えるべきことはおのずとシンプルになる。西口さんが求めるプレーを、それぞれがどう形にしていくか。とにかく必死に学ぶ。信じる。ついていく。

 そうやって、前向きな気持ちで一丸になっていければ。きっとファンの皆さんを幸せにすることができるはず。

 僕はそう信じています。今シーズンもどうぞよろしくお願いいたします。

(構成:塩畑大輔、企画:スリーライト)

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著者プロフィール

1983年9月3日生まれ。兵庫県出身。背番号1。外野手。右投左打。177cm/85kg。プロ24年目。育英高から2001年ドラフト4巡目で西武に入団。2008年に自身初の規定打席に到達し最多安打(167安打)を獲得するなどチームの日本一に貢献。08年から9年連続でシーズン100安打以上を達成、12年から16年まではキャプテンを務めるなどチームの顔として活躍。稀代のヒットメーカーとして安打を積み重ね、21年に生え抜き選手では球団史上初となる通算2000安打を達成した。これまで獲得した主なタイトルは最多安打(08年)、ベストナイン(08、10、11、20年)、ゴールデン・グラブ賞(10年)。

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