4年半前の傷口をふさいだバルサの若手たち その輪から弾かれた久保と同世代の“神童3人組”アンスとエリックの今
スペイン・スーパーカップ決勝は、バルサが先制を許しながらも大量5ゴールを奪って宿敵マドリーを粉砕。5年前の悲劇を忘れさせる快勝だった 【Photo by Ismael Adnan Yaqoob/Anadolu via Getty Images】
近代バルサ史における悲劇の1つ
キケ・セティエン監督のチームには、リオネル・メッシをはじめ、ルイス・スアレス、セルヒオ・ブスケッツ、ジェラール・ピケ、ジョルディ・アルバら錚々たる顔ぶれが揃っていたが、それでもバイエルンの前にバルサは手も足も出なかった。まるで大人のチームを相手に必死にプレーする小学生チームのように、ひたすら翻弄(ほんろう)された。
バルサが5得点以上の大差をつけられて敗れたのは、1946年のサッカー総統杯(コパ・ヘネラリッシモ)のラウンド16でセビージャに1-8で屈して以来、実に69年ぶりの出来事だった。
コロナ禍に見舞われたこの19-20シーズンのCLは、ベスト8以降がポルトガル・リスボンでの集中開催。ホームで戦えなかった、無観客試合でファンの後押しがなかったといった言い訳を並べ立てたくもなるが、条件はどこも同じだ。バルサ・サポーターにとってはおよそ容認できる結果ではなく、この歴史的大敗は彼らの心に深い傷を残すことになった。
負の記憶を消し去った若者たち
逆転劇の口火を切ったのが、得意のカットインから同点弾を決めた17歳のヤマル(左)だった。彼を筆頭とする若いタレントたちが長く刺さったままだった棘を抜いた 【250115_ws_laligacontents_supercopa2025final_02】
当時のスタメンで現在もチームにとどまっているのは、守護神マルク=アンドレ・テア・シュテーゲンとMFのフレンキー・デ・ヨングのみ。GKイニャキ・ペーニャ、DFロナルド・アラウホ、FWアンス・ファティのベンチ入りメンバーを合わせても5人しかいない。
時の流れとは恐ろしいものだ。当時バイエルンの前線をけん引していたロベルト・レバンドフスキが今ではバルサの「9番」を背負い、昨年7月からはかつての敵将フリックが“アスルグラナ”のベンチを預かっている。
そして、迎えた2025年1月12日。監督就任からわずか半年で、フリックはバルサでの初タイトルを手にする。レアル・マドリーとのエル・クラシコとなったスペイン・スーパーカップ決勝で、バルサは宿敵を5-2というスコアで粉砕。その圧勝劇によって得られたのは、4年半前とは舞台も対戦相手も異なるとはいえ、ようやく背中に刺さったままだった棘(とげ)が抜けたような感触だった。
傷口はいつか自然とふさがれるものだが、それが深ければ深いほど、かさぶたができるまでには時間がかかるものだ。
今回、4年半の歳月を経て、ついに負の記憶を消し去ったのは、17歳のラミン・ヤマルとパウ・クバルシ、20歳のガビ、21歳のアレハンドロ・バルデ、マルク・カサド、フェルミン・ロペス、そして22歳のペドリといった、あの悲劇のことなどほとんど知らない若者たちが中心のチームだった。
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