史上初の神戸S戦勝利をもたらした、渇望するフルバックの正確無比なキック
三菱重工相模原ダイナボアーズ 石田一貴選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】
立ち上がりは神戸Sが攻勢に出る。力強いボールキャリーで敵陣深くまで侵入していった。しかし、前半4分の場面では相模原DBがボール奪取に成功。そこからカートリー・アレンゼが約80mを独走して、先制トライを決めた。さらに同9分には再びアレンゼがサイドライン際を突破して連続トライ。守備ではジャッカル(スティール)を成功させるなど世界的名手の活躍で終始リードを守った相模原DBが、終盤の神戸Sの猛攻をしのぎ切った。
トライの数は互いに4つずつ。そのゲームで差を付けたのは石田一貴のキックだった。この日は7本蹴って6本を成功。特筆すべきは前半最後のプレーだ。相模原DBはハーフウェイライン付近でペナルティを獲得する。ゴールまでの距離は約50m。石田は「ラストワンプレーのあの時間、自分の射程圏内でしたので蹴ることしか考えていなかったです」。
そろえたモモに前かがみで両手を添えるルーティンの姿勢から、蹴ったボールは真っすぐ飛び、ポストの間を抜けていった。
石田は前節に続いてフルバックで先発出場した。開幕からの2試合では、そのポジションをアレンゼが務めていたが、ベン・ポルトリッジの負傷でアレンゼがウイングに入ったことで先発の出番が回ってきた。
「このような形でアレンゼがウイングになることがあると思っていたので、(フルバックで出場する)準備はしていました」
昨季は、先発とリザーブを合わせて9試合に出場。限られた出場時間の中でも、精度の高いキックなどで存在感を示し、6月には相模原DBの選手として初めて日本代表に選出された。
「代表合宿に参加してから、質の高いところでの一貫性をターゲットにして取り組んできました。そこに徐々に近づいていると思います」
ただ、まだ日本代表での出場はない。
「コミットできなければ、日本代表への道も遠のいてしまいます。出られるチャンスをつかむということを意識しています」
常に準備を欠かさず、出番が訪れれば結果で応える。石田の渇望が勝利の原動力となっている。
(宮本隆介)
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